【8月10日 AFP】今年6月にカナダ・米国国境にあるナイアガラの滝(Niagara Falls)の綱渡りに成功した米国の綱渡り名人、ニック・ワレンダ(Nik Wallenda)さんが9日、今度はニュージャージー(New Jersey)州のビーチで空中散歩に挑んだ。

 同州アトランティックシティー(Atlantic City)で行われた今回の挑戦は、6月15日に世界中のテレビで放映されたナイアガラでの挑戦ほど華々しいものではなかったが、1つの点で決定的に違っていた。ワレンダさんは命綱を付けずに上空100フィート(30メートル)での綱渡りを行ったのだ。

 ナイアガラの挑戦では、万一の場合にワレンダさんが死ぬ瞬間を放送してしまうことを恐れた米ABCテレビの意向で命綱有りでの綱渡りを余儀なくされた。だが9日の挑戦では、約6メートルのバランス棒のみを使った綱渡り本来の姿が披露され、命の危険を顧みないワレンダさんを数千人の海水浴客やファンが見守った。

 ワレンダさんは全長1300フィート(396メートル)にわたって張られたワイヤの中間地点に到達すると、止まって右手の人差し指を掲げて見物客にアピールした。地上の人々からは「ニック!」と歓声が上がり、上空にはショーを撮影するヘリコプターが飛んでいたが、氷のように冷静なワレンダさんは騒音を気にする様子もなかった。

 ワレンダさんは「空飛ぶワレンダ一家(Flying Wallendas)」と呼ばれる綱渡りファミリーの7代目。歩き始めたころにはもう綱渡りをしていたというワレンダさんは米地方紙フィラデルフィア・インクワイアラー(Philadelphia Inquirer)の取材に、「高さが2フィート(約60センチ)でも1000フィート(約300メートル)でも同じ。60~70フィート(約20メートル)を超えれば見応えがあるね」と語り、今回の30メートルという高さは「落ちれば死ぬ」高さだと話していた。(c)AFP/Stan Honda