【6月7日 AFP】6月初めの英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)即位60周年には、数百万の英国民が沸いた。だが、彼らも「クイーンズ・イングリッシュ」への興味は失ってしまったようだ。40年もの間、「正しい英語」を守る活動を続けてきた英クイーンズ・イングリッシュ協会(Queen's English Society)の解散が決まったのだ。

■会員の高齢化と無関心

 同協会のリア・ウィリアムズ(Rhea Williams)会長は5日、AFPの取材に、解散は協会の幹部職を引き継ぐ意欲を持つ人がいなくなったためだと説明した。退任する人たちの後継者が見つからないのだという。「会員の高齢化が進み、会を継続する熱意も時間もエネルギーは誰にもない」

 これまでクイーンズ・イングリッシュ協会は、イギリス英語の乱れを正そうとロビー活動に励んできた。特に協会が悩みの種としていたのは、米国的な英語用法やアポストロフィーの位置の誤り、そして口語と文章での「英語の短縮化」だった。 「美しい英語を話し、美しい英語を書く人は、今後もずっと存在し続けるはず。とはいえ、新聞や英国放送協会(BBC)で使われる英語の水準は低下している。美しい英語を話す人をBBCに連れ戻すことができれたらいいのだけど」とウィリアムズ会長は嘆く。「何も貴族のように気取って話す必要はない。けれど、文法的に正しく話し、正しい単語を使うことは、私たちもできるはずだ」

■批判と闘ってきた協会

 クイーンズ・イングリッシュ協会は「尊大だ」「多様性や変化の阻止を試みている」などとの批判に常にさらされてきた。一部の言語研究者グループは「協会の狭量さに対抗する」として「反クイーンズ・イングリッシュ協会(Anti-Queen's English Society)」なる団体を設立さえしている。

 こうした批判について、ウィリアムズ会長は、協会は英語の変化や現代技術そのものには反対ではないと反論。ツイッター(Twitter)についても、自身は使用したことがないと前置きしたうえで、「ツイッターやテキストメッセージは、それはそれで構わない。140文字ではたいしたことを伝えられないでしょう」と語った。だが、そういった変化や技術によって正しい英語が忘れ去られてはならないとも付け加えた。

 一方、クイーンズ・イングリッシュ協会の支援者、ジャイルズ・ブランドレス(Gyles Brandreth)氏は、協会が解散しようとも正しい英語を追求する闘いは続くと、英紙インディペンデント(Independent)に語っている。「クイーンズ・イングリッシュそのものが危機にあるわけではない。女王陛下は安心してお休みになれる。今も良き英語を話す全ての人々が、クイーンズ・イングリッシュを守っているのだから」(c)AFP