【6月1日 AFP】為替市場で歴史的なルピー安が進んでいる。ビジネスマンならば、その原因は国際的な経済危機やインド政府の不適切な政策にあると言うかもしれない。だがインドのあるヒンドゥー教指導者は、最近採用されたルピー通貨記号の不吉な形に原因があると主張している。

 ヒンドゥー教に古くから伝わる理論「バーストゥ・シャーストラ」の専門家、ラージクマール・ジャンジャリ(Rajkumar Jhanjhari)氏は、2年前に初めて制定されたルピーの通貨記号が「首をかき切る」ような形をしているために、インドの経済不振が進んだと論じている。

 ルピーの通貨記号は、インド経済が停滞する前の2010年に発表された。記号の形は、アルファベットの「R」と、ヒンディー語で使われるデーバナーガリー文字の「ラ」の音を表す文字が基になっている。

 ジャンジャリ氏はインド紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)に、「通貨記号が発表される前のインドは、2009年の世界経済危機を持ちこたえた。通貨記号を変えて欲しいという嘆願をけなす前に、なぜインドの成長率が落ち込んでいるのかをあらためて問い直さなければいけない」と語った。

 31日に発表された統計では、今年1~3月のインド経済成長率は5.3%とおよそ10年ぶりの低成長率を記録し、ルピーは対ドルで過去最安になった。

 バーストゥ・シャーストラは中国の風水に似た空間デザインについてのヒンドゥー教の理論で、建物などの構築物を自然界の力と調和するように作ることで幸運が訪れるとされている。

 ルピー通貨記号をデザインした学生のウダヤ・クマル(Udaya Kumar)さんは、記号の変更については政府の判断に任せると述べている。クマルさんはヒンドゥスタン・タイムズに「正直、何と言っていいか分かりません」と語った。(c)AFP

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