【5月18日 AFP】事故で両手両足を失ったフランス人男性が17日、世界5大陸間を泳いで渡る挑戦を開始し、強い風や潮の流れにも負けずパプアニューギニア(オセアニア)とインドネシア(アジア)間を泳ぎきった。

 フィン付きの義肢を使い挑戦を行うフィリップ・クロワゾン(Philippe Croizon)さん(43)は、パプアニューギニアのWutung村を出発し、7時間半かけてインドネシア・パプア(Papua)州のPasar Skow村に到着した。

 今回クロワゾンさんが完泳したのは、西側がインドネシア、東側がパプアニューギニアに属するニューギニア(New Guinea)島の2地点間を結ぶ全長20キロの泳路。計4回予定されている世界5大体陸間挑戦の内、オセアニア大陸とアジア大陸間を結ぶものだ。

 ヤシの木が並ぶPasar Skowの海岸で、集まった村人100人以上に迎えられたクロワゾンさん。乱れた息を整えながら「本当につらかった」とAFPに語り、「海流に逆らって泳がなければいけなかったので、予定していたよりも1時間半も長くかかってしまった」と続けた。

 クロワゾンさんの挑戦には、フランスの長距離水泳選手アルノー・シャセリー(Arnaud Chassery)さんと自主的に参加したパプアニューギニア人男性のZet Tampaさんも付き添って同ルートを泳ぎ連帯を示した。

 当初、インドネシアへの入国許可が下りず出発が一時延期されていたが、16日夜に許可が下りたことから翌17日に計画は実行された。クロワゾンさんは「練習をする機会がなかったので、ゆっくり泳くことにした」と話している。

 2010年にはイギリス海峡を泳いで渡っているクロワゾンさんは、障害のある人たちが持つ力を示し、平和や連帯といったメッセージを発信するため、この世界一周水泳の旅を計画した。

■事故、そして強い決心

 クロワゾンさんは1994年、屋根の上のテレビアンテナを取り外そうとした際に起きた感電事故で2万ボルト強の電流が体に流れ、四肢の切断を余儀なくされた。

 だが入院中に、海峡を泳いで横断する人のドキュメンタリー番組を見て、自身も挑戦したいと強く思うようになったという。

 6月には、アジア・アフリカ間の泳路としてヨルダンのアカバ湾(Gulf of Aqaba)からエジプト沿岸までの25キロを泳ぐ予定だ。

 翌7月には、ジブラルタル海峡(Strait of Gibraltar)を、数百隻の貨物船やタンカーを横目に汚れた海を泳ぎ、アフリカからヨーロッパへと渡る。この海峡の距離は最短で14キロほどだが、潮の流れが速いために20~25キロ泳ぐのと同程度の労力を要する。

 8月には、海水温が0度まで下がるという、ビッグダイオミード(Big Diomede)島(ロシア領)とリトルダイオミード(Little Diomede)島(米領)との間の極寒の海を往復で10キロにわたり泳ぐ予定だ。(c)AFP/Levi Cunding

【動画】パプアニューギニアからインドネシアまでを泳ぎきったクロワゾンさん(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)

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