【5月16日 AFP】糖分を取り過ぎると頭が悪くなるかもしれないことを示す実験結果が、15日の米専門誌「生理学ジャーナル(Journal of Physiology)」に掲載された。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)の研究チームはラットを2つのグループに分け、まず複雑な迷路を使った5日間の訓練を行わせた。

 次に、両グループには加工食品によく使われる高フルクトースコーンシロップ(異性化糖)を、飲み水の代わりとして与え始めた。うち1つのグループにだけ、脳を活性化するオメガ3脂肪酸を含むアマニ(亜麻仁)油とドコサヘキサエン酸(DHA)も同時に与えた。

 6週間後、両グループのラットを迷路に入れて観察したところ、DHAを与えられなかったラットの動きは鈍く、脳のシナプス活性は減少していたという。

 また、ラットの脳をさらに詳しく調べたところ、DHA補給をしなかったラットは血糖値をコントロールし脳機能を統制するインスリンへの耐性を発達させていたことも明らかとなった。

 UCLA医学部のフェルナンド・ゴメスピニージャ(Fernando Gomez-Pinilla)教授(神経外科学)は、「インスリンは血液脳関門を通過できるので、ニューロンを刺激して学習の阻害や物忘れの原因となる反応を引き起こしているのかもしれない」と説明する。

 思考や感情を処理するには脳細胞が糖分を使用・蓄積することが必要で、インスリンにはこれをコントロールする働きがあるが、フルクトース(果糖)の取り過ぎはこの作用に影響を与える可能性があるということだ。

「インスリンは体内の血糖値をコントロールするために重要だが、脳内では記憶や学習を阻害する別の働きをしているのかもしれない。われわれの研究で、高フルクトース食は体だけでなく脳にとっても有害だということが示された。これは新しい発見だ。」とゴメスピニージャ教授。「この発見は、食習慣が思考に影響を与える事実を示している。高フルクトース食を長期にわたって食べ続けると、脳の学習能力や情報記憶能力を変化させてしまうが、オメガ3脂肪酸を食事に加えることにより、ダメージを最小限に留める助けとなる」

 高フルクトースコーンシロップは炭酸飲料、調味料、アップルソース、離乳食などの加工食品によく使われている。(c)AFP

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