【4月29日 AFP】ビッグベン(Big Ben)の愛称で親しまれる英国会議事堂の大時計や黒タクシーと並び、英ロンドン名物として知られる赤い公衆電話ボックスが、1950ポンド(約25万4000円)であなたのものになる。携帯電話の普及に伴い公衆電話の需要が減る中、英通信大手ブリティッシュ・テレコム(British TelecomBT)が公衆電話ボックス60台を売りに出したのだ。

 BTは24日「鋳型製の赤いオリジナル公衆電話ボックスK6型を売却する」と発表した。同社広報は「あらゆるモノを持っている知人への贈り物に。世界中に知られている20世紀デザインの象徴を、自宅や庭に置けます」とアピールしている。

 英国の公衆電話ボックスとしては6番目に登場したK6型は、1936年にジョージ5世(King George V)の即位25周年を記念してデザインされたもので、全国設置された初の公衆電話だった。

 BTでは1980年代半ばに公衆電話の近代化を進めた際、競売を通じて旧型のK6を大量に売却したが、それ以降は一般に直接売却することはなかった。

 その間、BTは公衆電話ボックスが時代遅れにならないよう、Wi-Fiや現金自動預入支払機(ATM)を導入するなど工夫をはかってきたが、過去5年間で公衆電話の利用は80%以上減少している。現在、英国全土には赤い電話ボックス1万1000台を含む計5万1500台の公衆電話が残っているが、その60%は赤字となっている。

 これまで現役を退いた電話ボックスは、救命用の除細動器用の設置場所として再利用されているほか、小さな図書館や日替わりパブとして使われている例もある。

 BTではK6型電話ボックスをきれいに改装し、オリジナルの赤と黒の色を塗装し直して販売するという。(c)AFP