戦車で車をグシャッ!NZ式ストレス発散法、あなたもいかが?
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【3月29日 AFP】アドレナリン放出型アドベンチャースポーツの「本家」ニュージーランドのとある企業が、鬱憤の溜まったドライバーにお薦めの「ストレス発散サービス」を提供している。――戦車で自動車を踏み潰す、というものだ。
ニュージーランド南島クライストチャーチ(Christchurch)の企業「タンクス・フォー・エブリシング(Tanks for Everything)」が所有するのは、戦車8台に兵員輸送装甲車、ジープによる「一部隊」。最も大きな戦車にかかれば、ファミリーセダンなど甲高い金属音とガラスが粉々になる音を立てながら、まるでパンケーキのようにぺちゃんこに潰れてしまう。
「戦車で何かを押しつぶせば、抑えていたフラストレーションが発散されると思うよ。特に嫌なことがあった日なんか、ストレス発散に最高だ」と、同社オーナーのジョナサン・ラヒーニアリー(Jonathan Lahy-Neary)氏。
イチ押しは1970年代初頭にベトナム戦争でオーストラリア軍が使用していた重量52トン、ロールスロイス(Rolls Royce)社製V型12気筒エンジンの英国製戦車「センチュリオン(Centurion)」だ。
旧ソ連時代のT-55戦車もある。青々としたニュージーランドの丘にはまるで不釣り合いな姿だが、同社のマシュー・サンドランド(Matthew Sandland)氏によれば、ハンガリーの兵器ディーラーから驚くほど簡単に購入できるという。「イラク軍もアフガニスタン軍も保有していた戦車だ。ディーラーには100台以上あって、完全に実戦に使える状態で売っている。ニュージーランドに持ってくるために、わざわざ金を払って銃を使えないようにしたんだ。つまり基本的には、実戦可能な状態で誰でも購入できるということだ」
■「アドベンチャーの国」でも前代未聞のアトラクション
ニュージーランドは「スリルを追い求める旅行者のメッカ」として自国をアピールしており、ラフティング、バンジージャンプ、へリスキーから、プラスチックのボールに入って斜面を転がり落ちるゾービングなどを取り揃えて観光客を誘致している。タンクス・フォー・エブリシングの戦車たちは、年間25億ドル(約2070億円)規模の利益を生み出す同国のアドベンチャー観光における「最新兵器」だ。
同国オタゴ大(University of Otago)観光学部のニール・カー(Neil Carr)准教授は「アドレナリン・ツーリズムの行き先として、ニュージーランドは恐らくダントツ」で、それには同国の地形も味方しているだろうと指摘する。
タンクス・フォー・エブリシングの戦車の人気は特に男性の間で高いが、10代から80代まで、申し込む人の年齢層は幅広いという。有名人ではラグビー・ニュージーランド代表、通称オールブラックスのピリ・ウィープー(Piri Weepu)やコンラッド・スミス(Conrad Smith)、米ロックバンド「スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)」のサポートメンバーなどが体験している。気になる乗り心地はといえば、「ギア操作なんかに慣れるのにちょっと時間がかかるけど、一旦コツをつかめば最高だよ」と体験者の1人。
まさに「究極の男のおもちゃ」といったところだが、安くはない。センチュリオンを15分間乗り回して450NZドル(約3万円)、さらに地元廃車業者から仕入れた車をセンチュリオンで潰すと別途395NZドル(約2万7000円)かかる。
ラヒーニアリー氏によれば戦車を購入するよりも、税関を通すほうが大変だった。戦車の個人輸入など前例がなく、警察も税関も同氏の申請をどう処理すべきか分からなかったのだ。戦車を非武装化しても、ラヒーニアリー夫妻が銃火器取扱い許可証を取るよう要請された。
許可証の試験場では、一緒に受験した地元猟師たちを戸惑わせた。「いかにも今すぐ茂みに突っ込んで何かを撃ってきます、といった風情の男がぞろぞろいてね。身長157センチの妻が座っていると彼らが聞くんだ。『どんな種類の銃を持っているの?』って。それで妻が『戦車よ』って答えると、連中は沈黙して、二度と言葉を発しなかったね」(c)AFP/Neil Sands
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【動画】車が踏み潰される瞬間(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)
ニュージーランド南島クライストチャーチ(Christchurch)の企業「タンクス・フォー・エブリシング(Tanks for Everything)」が所有するのは、戦車8台に兵員輸送装甲車、ジープによる「一部隊」。最も大きな戦車にかかれば、ファミリーセダンなど甲高い金属音とガラスが粉々になる音を立てながら、まるでパンケーキのようにぺちゃんこに潰れてしまう。
「戦車で何かを押しつぶせば、抑えていたフラストレーションが発散されると思うよ。特に嫌なことがあった日なんか、ストレス発散に最高だ」と、同社オーナーのジョナサン・ラヒーニアリー(Jonathan Lahy-Neary)氏。
イチ押しは1970年代初頭にベトナム戦争でオーストラリア軍が使用していた重量52トン、ロールスロイス(Rolls Royce)社製V型12気筒エンジンの英国製戦車「センチュリオン(Centurion)」だ。
旧ソ連時代のT-55戦車もある。青々としたニュージーランドの丘にはまるで不釣り合いな姿だが、同社のマシュー・サンドランド(Matthew Sandland)氏によれば、ハンガリーの兵器ディーラーから驚くほど簡単に購入できるという。「イラク軍もアフガニスタン軍も保有していた戦車だ。ディーラーには100台以上あって、完全に実戦に使える状態で売っている。ニュージーランドに持ってくるために、わざわざ金を払って銃を使えないようにしたんだ。つまり基本的には、実戦可能な状態で誰でも購入できるということだ」
■「アドベンチャーの国」でも前代未聞のアトラクション
ニュージーランドは「スリルを追い求める旅行者のメッカ」として自国をアピールしており、ラフティング、バンジージャンプ、へリスキーから、プラスチックのボールに入って斜面を転がり落ちるゾービングなどを取り揃えて観光客を誘致している。タンクス・フォー・エブリシングの戦車たちは、年間25億ドル(約2070億円)規模の利益を生み出す同国のアドベンチャー観光における「最新兵器」だ。
同国オタゴ大(University of Otago)観光学部のニール・カー(Neil Carr)准教授は「アドレナリン・ツーリズムの行き先として、ニュージーランドは恐らくダントツ」で、それには同国の地形も味方しているだろうと指摘する。
タンクス・フォー・エブリシングの戦車の人気は特に男性の間で高いが、10代から80代まで、申し込む人の年齢層は幅広いという。有名人ではラグビー・ニュージーランド代表、通称オールブラックスのピリ・ウィープー(Piri Weepu)やコンラッド・スミス(Conrad Smith)、米ロックバンド「スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)」のサポートメンバーなどが体験している。気になる乗り心地はといえば、「ギア操作なんかに慣れるのにちょっと時間がかかるけど、一旦コツをつかめば最高だよ」と体験者の1人。
まさに「究極の男のおもちゃ」といったところだが、安くはない。センチュリオンを15分間乗り回して450NZドル(約3万円)、さらに地元廃車業者から仕入れた車をセンチュリオンで潰すと別途395NZドル(約2万7000円)かかる。
ラヒーニアリー氏によれば戦車を購入するよりも、税関を通すほうが大変だった。戦車の個人輸入など前例がなく、警察も税関も同氏の申請をどう処理すべきか分からなかったのだ。戦車を非武装化しても、ラヒーニアリー夫妻が銃火器取扱い許可証を取るよう要請された。
許可証の試験場では、一緒に受験した地元猟師たちを戸惑わせた。「いかにも今すぐ茂みに突っ込んで何かを撃ってきます、といった風情の男がぞろぞろいてね。身長157センチの妻が座っていると彼らが聞くんだ。『どんな種類の銃を持っているの?』って。それで妻が『戦車よ』って答えると、連中は沈黙して、二度と言葉を発しなかったね」(c)AFP/Neil Sands
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【動画】車が踏み潰される瞬間(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)