インド「売春婦の村」、風習に立ち向かう集団結婚式
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【3月12日 AFP】「売春婦の村」の異名で知られるインド・グジャラート(Gujarat)州バディア(Vadia)村で11日、セックスワーカー(性労働者)を母親に持つ若い女性8人が集団結婚式を挙げた。「世界最古の職業」に就く悪しき伝統から女性たちを守ろうという5年越しの試みだ。
バディア村の女性は何世代にもわたって性産業で働いてきた。今回、その流れを断ち切ろうと、社会的に取り残された小村などの支援活動を行う非営利団体「VSSM」が集団結婚式を企画・実行した。「結婚によって、売春業に就くという伝統から若い女性たちを守ることができる。結婚か婚約をした女性は、売春を強要されなくなるからだ」とVSSMは説明している。
色鮮やかなサリーの衣装に身を包んだ8人の花嫁は、全員18歳かそれより少し年上。太鼓の音が大きく鳴り響く中、華やかなターバンをまとった花婿たちと式を挙げた。結婚式と同時に18歳未満の少女たち12人の婚約式も行われたが、3件の婚約については相手の少年たちが姿を現さなかったため中止となった。
バディア村は地元で「売春婦の村」として知られ、村の男性たちは売春あっせん業で生計を立てている。そのため、バディア村の少女との結婚を望む男性は、これまで誰1人いなかった。だが、VSSMは5年をかけて地域社会と密接な関係を築き、「信頼を勝ち得た」ことによって、花婿たちを見つけることに成功したという。
11日の結婚式には招待客約3000人が集まり、新郎新婦を祝福した。夫婦となった8組に贈り物をした地元当局高官は、「歴史的な出来事だ。バディア村の女性たちの人生に、大きな社会的変化がもたらされるだろう」と語った。(c)AFP