インドネシアで生き別れた双子姉妹、スウェーデンで再会
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【2月2日 AFP】インドネシアで別々の夫婦に養子に出された双子の女の子が、約30年後に、故郷から遠く離れたスウェーデン南部で感動の再会を果たした。2人は、なんと40キロしか離れていない場所に暮らしていたという。
2011年まで互いの存在を知らずにいた二卵性双生児のエメリ・ファルク(Emelie Falck)さんとリン・バックルンド(Lin Backlund)さんは29年前、インドネシア北部のセマラン(Semarang)の児童養護施設で、別々のスウェーデン人夫婦に引き取られた。しかし、どちらの書類にも、双子の姉妹がいるという記述はなかった。
当時、リンさんを引き取ったバックルンド夫妻が児童養護施設からタクシーに乗ったところ、運転手が後ろを振り向き、「もう片方はどうするんだい?きょうだいは?」と聞いてきたという。夫妻はそこで、2人の女児のインドネシア名をメモに書きとめた。
スウェーデンに戻ったバックルンド夫妻は、名前を手がかりにファルク夫妻を見つけ、双子が赤ちゃんのときに何度か会って養子縁組の書類を見比べた。だが、エメリさんとリンさんはあまり似ておらず、書類も父親の名前が違うなど矛盾が目立った。母親の名前は同じだったものの、両家は信頼するに足らないと考え、やがて両家間の連絡は途絶えたという。当時は、DNA検査という選択肢はなかった。
エメリさんもリンさんも子ども時代にこの話を聞いたが、大人になった頃にはすっかり忘れてしまっていた。また、成人してからは産みの親に興味を持つこともなく、情報を求めることもなかった。
■結婚機に自分のルーツに興味、発見はフェイスブックで
「でも、2年前に結婚したとき、自分の家族や養子縁組について考えるようになりました」とエメリさんは語る。「母に聞いたら、当時の話をもう1度教えてくれました。そこでリンを探そうと心に決めたんです」
名前だけを手がかりに、エメリさんはスウェーデン人に引き取られたインドネシア人のネットワークを使い、最終的にフェイスブック(Facebook)でリンさんを発見した。「私は1983年3月18日にセマランで生まれ、産みの母親の名前はマリヤティ・ラジマンです」とメッセージを送ると、リンさんからすぐに返事が来たという。「すごい、私の母親もその名前だし、それって私の誕生日よ!」
それまで他人だった2人には、たくさんの共通点があった。
2人はスウェーデン南部の、40キロしか離れていないところに住んでいた。2人とも教師で、ちょうど1年違いの同じ日に結婚していただけでなく、それぞれの結婚式ではともに米ロックバンド「ライフハウス(Lifehouse)」の『ユー・アンド・ミー(You and Me)』をダンス曲に選んでいたという。2011年に受けたDNA検査では、2人は99.98%の確率で姉妹だという結果が出た。
エメリさんは、そのときのことをこう回想する。「(DNA検査結果について)リンから電話があったとき、私は車の中にいて、結果を聞くなり笑い出しました。すごく奇妙な感覚だったんです。子宮の中で一緒にいた人なんだって考えたら、すごく不思議だったけれど、でも同時にすごく面白くて…」
■いつか両親を探しに…
それ以来、2人は密に連絡を取っている。いつかインドネシアに実の両親を探しに行くことも考えているという。矛盾もあるものの、2人はそれぞれ手がかりを持っている。父親の職業がタクシー運転手だというのもその1つだ。
「もしかして、『あの』運転手なんじゃないかって、すごく気になってるんです」と、エメリさんは話した。(c)AFP/Nina Larson