【1月24日 AFP】辰年を吉兆ととらえる中国人は、辰年に赤ちゃんを産むことを夢見る。だが、香港の一部の母親たちにとってはまさに悪夢となっている。

 中国本土からは毎年数万人の妊婦が香港を訪れ、出産している。昨年、香港で生まれた赤ちゃん8万131人のうち、中国本土から来た妊婦の赤ちゃんは3万8043人に上った。

 香港で赤ちゃんを出産すれば、子どもは英国の元植民地で半自治権を有し、比較的自由な香港に住んで香港で教育を受ける権利が得られるからだ。また中国本土の一人っ子政策に対する抜け道にもなっている。

 そのため香港の産科の限られたベッドは満杯になり、出産費用を押し上げている。最近香港では、本土から妊婦たちが大量に押し寄せてくることに抗議するデモ行進も行われた。

 この問題は辰年に最高潮に達する見込みだ。12年に1度の辰年はたいていベビーブームの年になる。公式統計によれば、前回の辰年である2000年には、出生者数は前年比で5.6%増加した。

■当局が対策に乗り出すものの…

 今年ベビーブームが起きると予測されることから、中国当局は香港に入るための規則を厳しくし、境界管理を強化し、本土の妊婦のためのベッド数に制限を設けた。

 これに対し、報道によると、中国本土の妊婦たちは大きめの服を着て妊娠を隠して香港入りしようとしたり、妊娠初期に香港での生活を始めることで妊娠の発覚を防ごうとしているという。

 どうしても香港で出産したい一部の女性は、ぎりぎりまで我慢して、香港の救急病棟に無理矢理かけ込むという手段に出ている。病院関係者によれば昨年の緊急病棟での出産は3倍増だった。

 香港の産科問題グループの広報を務める医師は、中国本土の女性たちは自分と赤ちゃんの命を危険にさらしていると懸念する。同医師は、公共病院では産科のベッドの予約が今年は15%増加していると述べ、香港での出産人数は10万人に迫るだろうと予測した。(c)AFP/Beh Lih Yi