医者はシェークスピアを読め!「診断に役立つ」と英医学研究
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【11月24日 AFP】患者の症状を正しく診断したいなら、医者は英劇作家ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)の作品を読むべきだ、と結論付けた一風変わった論文が、23日の英医学誌「Journal of Medical Humanities(医療人文学ジャーナル)」に掲載された。
英ブリストル大学(University of Bristol)のケネス・ヒートン(Kenneth Heaton)医学博士は、シェークスピアの代表的な42作品と、現代作家による同分野の46作品を比較。シェークスピアが、身体症状と精神的な苦痛の関連性について、極めて優れた見識を持っていたことを発見した。
例えば、『じゃじゃ馬ならし(The Taming of the Shrew)』『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』『ヘンリー6世 第1部(Henry VI Part 1)』『シンベリン(Cymbeline)』『トロイラスとクレシダ(Troilus and Cressida)』では、男性登場人物の感情的な苦悩が、めまいの症状で示されていた。
また、『ハムレット(Hamlet)』『ベニスの商人(The Merchant of Venice)』『お気に召すまま(As You Like It)』『リチャード2世(Richard II)』『ヘンリー4世 第2部(Henry IV Part 2)』では、嘆きや悲しみの感情が、疲労感によって表現されていた。
『リア王(King Lear)』『リチャード2世』『ジョン王(King John)』では、主人公らの精神状態が危機的状況に陥った際に難聴の症状があらわれ、『ロミオとジュリエット』『ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)』『リチャード3世(Richard III)』など多くの作品で、激しいショックを受けた象徴として、寒気や失神が用いられていた。
こうした「心理的要因によって感覚が鈍ったり、逆に鋭敏になるとのシェークスピアの見識」は、現代作家の作品には見られなかったという。
ヒートン博士はこの研究結果について、「身体的症状が感情的な苦悩に起因していると認めたがらない医師たちが多いことが、診断の遅れや過剰診療、不適切な治療といった問題につながっている。シェークスピア作品を読めば、もっと良い医師になれるだろう」と述べている。(c)AFP