【11月14日 AFP】米グーグル(Google)のエリック・シュミット(Eric Schmidt)会長は12日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて米ハワイ(Hawaii)ホノルル(Honolulu)で行われた経営者らの会合で講演し、インターネットは市民にとって権力の乱用をチェックする新たな力になっており、インターネットを普及させていくことで各国の政府を誠実にさせることができるとの考えを語った。

「世界中の国や地域で、市民たちは政府を誠実でいさせるためにオンラインツールを使うようになっている。内部告発はかつてなく容易になった」と、シュミット氏は語った。

 シュミット氏は、チュニジアやエジプトの指導者を退陣させたデモについて触れ、活動家たちが米SNSフェイスブック(Facebook)を使ってデモの計画を立て、米マイクロブログのツイッター(Twitter)を使って連携し、米動画サイトのユーチューブ(YouTube)を使って世界に向けて出来事を発信したと語った。

■革命か大騒ぎか

 現在、世界人口の52%は30歳未満。インターネットに詳しい若者たちは、さまざまな問題に対してこれまでよりも大きな発言力を持つようになった。

 シュミット氏は、政府はオンラインで行われる抗議行動を無視してはならないと述べる一方、オンラインでの抗議行動はときに誇張されたものになると指摘した。

「オンラインの世界では、騒ぎ立てることで革命の雰囲気を生み出すことが簡単にできる。まっとうな抗議行動と、興奮してただ単に騒いでいるだけの行為を区別して見極めることが重要だ」

■2つの世界システム

 シュミット氏は、インターネットをさらに普及させることで、政府が人びとに権力を行使できる物理的な世界と、人びとがもっと強い影響力を持つことができるバーチャルな世界の2つのグローバルなシステムが生まれるだろうと語り、市民に対する残虐行為があれば、それが終わった後ではなく進行しているうちからその事実を伝えられるようになり、悪事を行った者が隠れる場所はなくなっていくだろう、と指摘した。

 世界人口70億人のうちインターネットに接続しているのは推計20億人にすぎず、インターネットが普及する余地はまだまだある、とシュミット氏は語った。(c)AFP