巨大ニシキヘビから心臓治療のヒント、米研究
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【10月31日 AFP】巨大な体をもつビルマニシキヘビは餌を食べると心臓の健康状態が改善し、その鍵は食後に血中で激増する脂肪酸にあるという研究結果を、米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)の研究チームが27日、米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。
ビルマニシキヘビは全長8メートル程度、胴回りは電柱程度にまで育つ大型のヘビで、絶食状態で最高1年過ごすことができる。このヘビが、シカ程度の大きな餌を食べて消化が始まると、トリグリセリドと呼ばれる中性脂肪の値が通常の50倍以上に激増することを研究チームは発見した。
しかし、餌を食べてから最初の数日間で、心臓のサイズが最大40%増加する一方、心臓を保護する上で重要な役割を果たす酵素が活性化し、ヘビの心臓にはまったく脂肪は蓄積しなかった。
チームは食後のビルマニシキヘビの血中の化学組成を突き止め、満腹状態のヘビの血漿(けっしょう)か、あるいはそれに似せて作成した混合物を、他の「断食」状態のビルマニシキヘビに注射した。すると、その両方のケースで、ヘビの心臓は大きくなり、心臓の健康状態を表す指標が改善されたという。
さらにマウスでも実験を行っても、同じ結果が得られた。研究者のブルック・ハリスン(Brooke Harrison)氏は「血漿を投与したヘビで確認された脂肪酸が、マウスでも心臓の健康的な発達を促進しうるというのは注目すべきだ」と語っている。
同じく研究者のセシリア・リケルメ(Cecilia Riquelme)氏は、調合された混合物が作用する分子レベルのメカニズムを把握するのが次の段階で、いつかはヒトへの応用も期待できると語った。
■運動ができない人などへの応用に期待
心筋が厚みを増して、運動選手が突然死することもある肥大型心筋症など、心臓の肥大化は必ずしも良いこととは言えない。しかし、多くの一流運動選手でみられる種類の心臓の発達は、彼らの心臓の健康状態が優れていることを表している。
今回の研究のリーダーである分子・細胞・発達生物学部のレスリー・レインワンド(Leslie Leinwand)教授は、「五輪水泳選手のマイケル・フェルプス(Michael Phelps)氏や自転車ロードレース選手のランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏など、健康なアスリートたちは大きな心臓を持っている」と言う。「しかし、すでに心臓病の既往症などがあるせいで運動ができない人も多いので、心臓細胞の健康的な成長を促進する処置を開発できれば素晴らしいだろう」
研究チームがビルマニシキヘビの血中に認めた脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸の3種類だった。また、ヘビたちの心臓を保護していた酵素は、人間の体内にも存在する超酸化物不均化酵素(スーパーオキシドディスミュターゼ)だった。(c)AFP
ビルマニシキヘビは全長8メートル程度、胴回りは電柱程度にまで育つ大型のヘビで、絶食状態で最高1年過ごすことができる。このヘビが、シカ程度の大きな餌を食べて消化が始まると、トリグリセリドと呼ばれる中性脂肪の値が通常の50倍以上に激増することを研究チームは発見した。
しかし、餌を食べてから最初の数日間で、心臓のサイズが最大40%増加する一方、心臓を保護する上で重要な役割を果たす酵素が活性化し、ヘビの心臓にはまったく脂肪は蓄積しなかった。
チームは食後のビルマニシキヘビの血中の化学組成を突き止め、満腹状態のヘビの血漿(けっしょう)か、あるいはそれに似せて作成した混合物を、他の「断食」状態のビルマニシキヘビに注射した。すると、その両方のケースで、ヘビの心臓は大きくなり、心臓の健康状態を表す指標が改善されたという。
さらにマウスでも実験を行っても、同じ結果が得られた。研究者のブルック・ハリスン(Brooke Harrison)氏は「血漿を投与したヘビで確認された脂肪酸が、マウスでも心臓の健康的な発達を促進しうるというのは注目すべきだ」と語っている。
同じく研究者のセシリア・リケルメ(Cecilia Riquelme)氏は、調合された混合物が作用する分子レベルのメカニズムを把握するのが次の段階で、いつかはヒトへの応用も期待できると語った。
■運動ができない人などへの応用に期待
心筋が厚みを増して、運動選手が突然死することもある肥大型心筋症など、心臓の肥大化は必ずしも良いこととは言えない。しかし、多くの一流運動選手でみられる種類の心臓の発達は、彼らの心臓の健康状態が優れていることを表している。
今回の研究のリーダーである分子・細胞・発達生物学部のレスリー・レインワンド(Leslie Leinwand)教授は、「五輪水泳選手のマイケル・フェルプス(Michael Phelps)氏や自転車ロードレース選手のランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏など、健康なアスリートたちは大きな心臓を持っている」と言う。「しかし、すでに心臓病の既往症などがあるせいで運動ができない人も多いので、心臓細胞の健康的な成長を促進する処置を開発できれば素晴らしいだろう」
研究チームがビルマニシキヘビの血中に認めた脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸の3種類だった。また、ヘビたちの心臓を保護していた酵素は、人間の体内にも存在する超酸化物不均化酵素(スーパーオキシドディスミュターゼ)だった。(c)AFP