【10月7日 AFP】中国・香港(Hong Kong)でデザインを学ぶ学生が、米アップル(Apple)の共同創業者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏を追悼するつもりで、アップルのロゴマークにジョブス氏のシルエットを入れてインターネット上で発表したところ世界的な反響を呼び、作者本人が驚いている。

 お馴染みのリンゴのロゴを黒の背景に白抜きにし、リンゴの「かじられた」部分に、ジョブス氏の横顔のシルエットを入れたデザイン。「追悼バージョン」となったこのロゴを、グラフィックデザインを学んでいる香港理工大学(Hong Kong Polytechnic University)の2年生、ジョナサン・マク(Jonathan Mak)さん(19)が最初にデザインしたのは、8月にジョブス氏がアップルのCEO辞任を発表したときだったが、そのときにはそれほど注目を集めなかった。

 しかし、ジョブス氏の死後、インターネットであっという間に広まり、マクさんのツイッター(Twitter)のアカウントには突然、世界から何百通というメールやメッセージが押し寄せた。米国やドイツの新聞社からの問い合わせ、「ジョブス氏追悼ロゴ」の著作権買い取りの申し出、就職先の申し出・・・。マクさんはAFPの取材に「現実じゃないみたいです」と答えた。

「こんなに関心を集めたことを嬉しく思います。けれど、フルタイムの仕事に就く前に、自分の勉強をしっかり終えたい」と話すマクさんはいきなり有名になったことに戸惑っているようだ。「今は大学のプロジェクトを終わらせるので本当に忙しいんです・・・」

 ビジネスチャンスを狙って制作したのかとの質問には、逆にアップルのオリジナルロゴをベースにしたデザインなので、著作権に関してアップル側に連絡をとることを考えていると語った。

 インターネット上では早くも、マクさんの「追悼バージョン」のロゴを配したジョブス氏追悼Tシャツや帽子が売られているらしいが、マクさん本人は「もしも著作権によって何らかの利益が得られたら、インターネットで何人かの人が提案してくれたように、がん研究に役立ててもらおうと思っている」と答えた。ジョブス氏はすい臓がんのために56歳で亡くなった。

 マクさんは謙虚に、アップルを創業したジョブス氏こそが、このデザインのインスピレーションをくれたのだと語った。(c)AFP