【9月30日 AFP】フランスの公文書で現在も未婚の女性に使われている「マドモワゼル(mademoiselle)」という敬称は、女性に対し屈辱的で性差別を助長するとして、同国のフェミニストたちが廃止運動を立ち上げた。

 英語では既婚、未婚にかかわらず使える「ミズ」(Ms)という敬称があるが、フランス語にはこれに相当する言葉がない。もっとも、フランスのフェミニストたちは「ミズ」に相当する言葉が必要だと思っているわけではない。配偶者の有無について、なぜ女性だけ一目で分かるようにする必要があるのか、ということを問題にしているのだ。

「日常生活の中の性差別的な決まり文句」に関するインターネット・フォーラム、「VIE DE MEUF」にクリスティーヌ(Christine)さんという女性はこう書いた。「銀行口座を開こうとしても、結婚していなければ『マダム』とは呼ばれない。『マドモワゼル』になってしまう」

「細かいことかもしれないが、不平等を非常に象徴している」と言うのは、今週、「Chiennes de Garde」(番犬たち)というフェミニスト・グループと共に公式文書での「マドモワゼル」の使用廃止を呼び掛ける運動を立ち上げた「Osez le feminisme!」(フェミニズムよ挑戦せよ!)のジュリー・ミュレ(Julie Muret)さんだ。

「マドモワゼル」という敬称がフランスの法律文書に記載されるようになったのは、19世紀のナポレオン法典(Napoleonic Code)による。しかし現在は法的な意味はない。ドイツでは「マドモワゼル」に相当するドイツ語の敬称「フロイライン(Fräulein)」は1972年に公式使用が廃止され、1990年代に徐々に使われなくなっていった。

『Madame or Mademoiselle』という著書があるロランス・ワキ(Laurence Waki)さんは、ある人が別の人を「年齢や配偶者の有無などで」どういう人なのか決めつけるのは「我慢できない」と憤る。
 
 一方で「Paroles de Femmes」(女性の言葉)というグループのオリビア・カタン(Olivia Cattan)さんは、この問題について論じても「(女性に対する)暴力や生活の不安定さといった女性の問題は解決されない」と述べている。(c)AFP/Julie Charpentrat

【参考】VIE DE MEUF(フランス語)