【8月28日 AFP】生息地の南極から3000キロ離れたニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)に近い浜辺で発見され、世界で最も有名なコウテイペンギンとなった「ハッピーフィート(Happy Feet)」が29日、ついに故郷に帰還する。「魚のミルクシェーク」でまるまると太ったハッピーフィートの帰還は、専属の獣医チームがエスコートするという。

 3歳半のコウテイペンギン、ハッピーフィートは6月半ば、ウェリントンそばの浜辺に流れついていたところを発見された。ニュージーランドの獣医らは当初、ハッピーフィートを自力で故郷まで泳いで帰らせようとしていた。

 だが、ハッピーフィートがニュージーランドのあまりの暑さに、体を冷やそうと砂や枝を食べてしまい、体調を崩したことから、人間が介入しなければ死んでしまうことが明白となった。

 2006年の大ヒットアニメ映画に出てくるタップダンスをするコウテイペンギンの子どもにちなんで命名されたハッピーフィートは、ただちにウェリントン動物園(Wellington Zoo)の動物病院に運び込まれ、ニュージーランド最高の外科医により腸内の異物を除去するための内視鏡手術が行われた。

 ハッピーフィートの保護施設は南極の気候を再現するため、常時クーラーをつけて氷のベッドが設置された。サーモンのすり身を使った魚のミルクシェークには良い反応を見せた。

■南極に向けて出航へ

 ハッピーフィートは29日、ニュージーランドの調査船タンガロア(Tangaroa)に乗り、断熱処理のされた箱に入って出航する。船で4日間の航行の後、ハッピーフィートは荒れる海に放される。

「(ハッピーフィートは)10メートルの波だってへっちゃらさ。こいつは過酷な環境に慣れている。たぶんかなり興奮して、そのまま泳いで行ってしまい、それが最後の別れになるだろう」と、獣医チームの責任者は語った。「知り合いのペンギンに出会うことを祈るよ。でもそうならなければ、彼はどこかへ行き、そこで新しいコロニーを自分で作り上げるだろう」

 ハッピーフィートが放される場所は、南極から2000キロ離れた場所になる。同獣医によれば、その一体はコウテイペンギンの通常のエサ場の範囲内で、ハッピーフィートが生存できる可能性も高い。

 ハッピーフィートにはGPS(衛星利用測位システム)追跡装置が取り付けられるので、研究者や市民はウェリントン動物園のウェブサイトで、ハッピーフィートの行動を見守ることが可能だ。(c)AFP/Neil Sands

【関連記事】
南極生息のコウテイペンギン、1羽だけニュージーランドに上陸
迷子のコウテイペンギン体調急変、暑くて砂食べた?NZ
体調を崩した迷子のコウテイペンギンを救え!一流医師が手術 NZ

【参考】
ウェリントン動物園のウェブサイト