【8月14日 AFP】ブランドのハンドバッグや時計の偽造品で知られる中国で、有名ワイナリーのワインの偽造品があふれかえっている。

 中国の年間平均ワイン消費量は1人あたり1リットルほどで、ワインを飲む伝統があるとはとても言えない。だが、近年は急速に消費量が増えており、2014年には世界6位のワイン消費国になる見通しだ。

 中国ではフランス産ワインが一流とされている。2010年には中国と香港(Hong Kong)がボルドー(Bordeaux)ワインの最大の消費地となった。中国の投資家はこの3年間でボルドーのワイナリーをいくつか買収している。ボルドーのシャトー・ラフィット・ロートシルト(Chateau Lafite Rothschild)の1982年ものは特に人気が高く、多くの裕福な中国人がボトルあたり5万中国元(約60万円)もの大金を喜んで払うという。

■フランスワインが標的に

 偽造品製造者らは活況を呈するこの市場に目をつけ、主にフランスワインが狙われるようになった。

 ワイン輸入会社Le Baronのロメイン・ヴァンデヴールド(Romain Vandevoorde)氏は「(偽造品は)最高級品から最低ランクまであらゆるワインにある」と語る。「中国にはフランスで生産された量より多いラフィットの82年ものがある。だから中国でこのボトルを見つけたときは気をつけたほうがいい」

 中国ではワイン専門店が少ないため、ワイン販売はスーパーなどが中心だが、店頭には偽物があふれている。ボルドーワインを砂糖水で薄めて着色料や人工調味料を加えたものもある。こういったものが法外な金額で販売されているのだ。

 高級ワインが信じられないほどの安値で販売されている場合も注意すべきだ。ラフィットとして売られていながら、正しい「Lafite」ではなく、誤ったスペルで「Laffite」や「Lafitte」などとラベルに表記されているものもある。

■高級ワインの空き瓶も高騰

「『グラン・クリュ(最上の格付け)』のボトルを再利用した偽造品もあるが、これらは見分けが付きにくい」とヴァンデヴールド氏。高級ワインの空き瓶に、ラベルに記載された年かその前後にボルドーで造られた、品質がやや劣るワインを入れて売られていることがあり、有能なテイスターでも間違えることがあるという。高級ワインの空き瓶は、インターネットなどで高値で取引されている。

 ワイン取引業者も少しずつ知識を蓄えており、本物を見分けるすべを学びつつあるが、偽造品はまだ大量に出回っている。2004年から北京(Beijing)を中心にワインのテイスティング講座を開き、これまでに1万人が受講したという「逸香葡萄酒教育」の創業者、ウェン・アン(Wen An)氏は、「中国人が良いワインと悪いワインを見分けることができるようになれば偽造品が選ばれることはなくなる」と、ワインに詳しい消費者を増やすことが偽造品対策になると語った。(c)AFP/Pascale Trouillaud