【8月9日 AFP】61歳の米国人遠泳スイマー、ダイアナ・ニヤド(Diana Nyad)さんが7日、キューバの首都ハバナ(Havana)から米フロリダ(Florida)州最南端フロリダキーズ(Florida Keys)までの166キロを3日間で泳ぎ切る、フロリダ海峡(Florida Straits)横断の旅に出た。

 今月末で62歳になるニヤドさんは、出発前にハバナで会見し、「この3日間で(冷戦時代から敵対している)米国とキューバの歩み寄りに一役買いたい。60歳を過ぎてもアクティブな人生を送れるのだということも示したい」と話した。「運動能力で言えば29歳の頃よりも上よ」とも自信を見せていた。

 ボートで同行している米CNNのプロデューサーによると、ニヤドさんは初日、18時間泳いで全行程の約4分の1をこなした。肩に痛みがあり、氷と抗炎症剤で痛みを抑えているほか、呼吸に少々の困難があって吸入器を使用した。だが、それ以外は万事順調だという。

 ただし、沖合に出るにつれて波は高くなり、サメのリスクも高まりつつあるという。

■シャークケージを拒絶

 ニヤドさんは1978年にもフロリダ海峡横断を試みたが、悪天候のため42時間後に断念。翌年にはバハマ(Bahamas)からフロリダキーズまでを泳ぎ、外海における水泳世界最長距離を更新した。距離で言えば今回と同じだが、ニヤドさんいわく、「はるかに危険の少ないルート」だったという。

 キューバから米国へ水泳による横断を初めて達成したのはオーストラリア人スイマー、スージー・マロニー(Susie Maroney、当時22)さんで、1997年のことだった。ただし、マロニーさんはシャークケージに守られていた。

 ニヤドさんはシャークケージに入ることを拒んだ。米NBCの番組「トゥデー(Today)」で、その理由を「名前の後にただし書き(シャークケージ使用)を付けたくなかったから」と説明している。

 ニヤドさんの旅にはヨット5艇とカヤック4艇のほか、訓練されたシャークダイバーを含む45人のサポートチームが同行している。サメ除けのための電子機器も駆使されている。

■「人生は1度きり、目いっぱい生きよう」

 50歳の時にマンハッタン(Manhattan)島の周囲を世界最速(当時)の7時間57分で一周する偉業も成し遂げているニヤドさんは、NBCに対し次のように語った。「(横断を達成したとしても)大げさに取り上げられるべきではありません。人生は1度きり、目いっぱい生きようよというメッセージを伝えたいだけなのです」

 米国は1961年にキューバに対し禁輸措置を講じて以来、同国との国交を断絶している。(c)AFP