【4月6日 AFP】ソマリアの首都モガディシオ(Mogadishu)の港で密輸業者の手から保護された愛くるしい2頭のライオンの子どもが、現在仮住まいしている同地の空港で大切に育てられ、空港のマスコット的存在になっている。

 2頭は生後4か月で、それぞれ「スカー(Scar)」、「グランピー(Grumpy)」と名付けられた。昨年12月、アラブ某国へ向かう商船に乗せられていた2頭をソマリア暫定政府軍の兵士が発見。港湾当局により保護された。2頭は後ろ脚を縛られており、かなり弱っていた。

 2頭はその後、外資系の物流会社に託された。この会社は、市内でも数少ない比較的安全な場所、モガディシオ国際空港の敷地内に拠点を構えていた。

 かくして2頭は、空港滑走路の片隅の、フェンスで囲まれた一角で飼われることになった。戦争で荒廃しきった同市ではまれなこの生き生きした光景は、周囲を和ませている。

 2頭の方はというと、陽光にきらめくインド洋、軍用輸送機の残がい、有刺鉄線など、目にするものすべてが奇異な環境のなかで、無邪気に遊んだり食べたり昼寝をしたりと、一般的な子ライオンと違わない生活を送っている。

 2頭の世話は、麻薬探知犬を担当し動物をこよなく愛する南アフリカ人の空港職員が行っている。この男性は「ライオン密輸事件を耳にするのは今回が初めてではありません。ここで働く外国人の中には、ライオンを買わないかと持ちかけられた人もいます」と話した。

 2頭は現在、ネコほどの大きさだが、既に人間があやすには不適切なほどパワフルだ。餌として、3日ごとにヤギを丸ごと1頭与えているという。(c)AFP