【4月3日 AFP】オーストラリア、シドニー(Sydney)中心部の集合住宅の所有者団体が、住民に自宅内でも喫煙を禁じる契約条項を採用し、市民的自由を重んじる人びとから批判があがる一方、人口密集地の将来にとってあるべき姿だと賛成する声もあがっている。

 2日の現地紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)によると、シドニー中心部の住宅街アッシュフィールド(Ashfield)の集合住宅所有者たちは、賃貸契約書に全面禁煙を盛り込むことで合意した。同団体のアレックス・アンティク(Alex Antic)会長は「一帯すべてを禁煙エリアにした」と語った。

 この動きは1960年代に建てられた集合住宅に暮らす一部の住民から、アパート内の通気口をつたってたばこの煙が流れきたり、バルコニーで喫煙する隣人の煙が入ってくるといった苦情がきっかけとなった。アンティック氏によると、庭や通路のあちらこちらにたばこの吸い殻が絶えないといった苦情も常にあった。

 不動産業者や集合住宅管理者によると、住宅が密集する都市では「禁煙住宅」の人気が高まっているが、市民的自由の擁護を唱える人びとからは、こうした動きは危険だと警戒する声もある。

 人権団体「市民的自由のためのニューサウスウェールズ評議会(New South Wales Council for Civil Liberties)」のキャメロン・マーフィー(Cameron Murphy)会長は、「個人が自宅の中で合法な製品を使用することを禁じることができるのだとすれば、次はコーヒーを飲むことだって禁止できてしまう」と懸念している。(c)AFP

【関連記事】禁煙ビルでこっそり喫煙、通報者に報奨金6万円 スウェーデン