英首相官邸に忍び寄る新たな脅威、ダウニング街のネコ復活か
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【1月26日 AFP】英国政治の中枢をつかさどるロンドン(London)ダウニング街10番地(10 Downing Street)、英首相官邸。この英国で最も有名な家で、新たな脅威がドアの前まで忍び寄っている――官邸ドア前の階段でネズミが目撃されたのだ。
■官邸前にネズミがいる!
ネズミの生息が確認されたのは、テレビが放映した2本のニュースだった。首相官邸のニュース映像に、有名な黒いドアの前を小走りに駆け回るネズミが映っていたのだ。その後、このニュースを放映したテレビ局には、電子メールやツイッターのつぶやきが殺到した。
ダウニング街10番地では、かつて、優秀なネコたちが飼われてきた歴史がある。こうしたネコの中には、名誉ある「首相官邸ネズミ捕獲長(Chief Mouser to the Cabinet Office)」職を与えられたものもいたほどだ。しかし、2007年以降、首相官邸ではネコは飼われていない。
だが、英政府は24日、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相には、官邸に新たにネコを持ち込んで、官邸前での自由を野放しに満喫しているネズミの脅威を取り除こうという考えはないと発表した。
政府は緊縮財政と奮闘中であることから、ネコを導入しない理由の背景には、ネコ用のトイレ用品やペットフードのウサギ肉の缶詰などを購入する予算不足があるとも考えられる。
■ ダウニング街歴代の「名猫」たち
ダウニング街10番地で暮らした最後のネコとなった名物ネコ「シビル(Sybil)」は、2007年にアリステア・ダーリング(Alistair Darling)財務相(当時)とともに同地に移り住んだ。だが、ロンドンでの暮らしになじめず、半年後には故郷のエディンバラ(Edinburgh)に戻ってしまった。
シビルの前にダウニング街10番地の住人だったネコは、マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元英首相が飼っていた伝説のネコ「ハンフリー(Humphrey)」だ。ハンフリーは、官邸職員名簿にも名を連ね、飼育費として年100ポンド(約1万3000円)を内閣府から支給されていた。
ハンフリーは、サッチャー氏の後任となったジョン・メージャー(John Major)氏の首相在任中も、引き続き官邸に住み続けた。だが、政権交代で首相となったトニー・ブレア(Tony Blair)氏が1997年、ハンフリーに引退を勧告した。ハンフリーの引退をめぐっては、ブレア氏の妻、シェリー(Cherie Blair)さんがハンフリーを追い出すよう迫ったとの憶測が、当時ささやかれている。
後に、公的機密に関する条例に基づき、ハンフリーに関する120ページにおよぶ文書が公開されている。文書はハンフリーについて、「仕事中毒だ。ほぼ1日中、官邸内で過ごしている。犯罪歴なし。社交好きな方ではない。パーティーにも、あまり出かけない。われわれが知る限り、セックスや薬物をめぐるスキャンダルに関与していない」と記載している。(c)AFP