【1月4日 AFP】英政府は2日、元ビートルズ(The Beatles)のリンゴ・スター(Ringo Starr)の生家を解体の危機から救おうと介入に乗り出した。

 リバプール(Liverpool)市議会は前年8月、ディングル(Dingle)地区にある1919年以前に建てられた住宅445軒について、修復には経費がかかりすぎるとして解体を決定。マドリン・ストリート(Madryn Street)9番地にあるリンゴ・スターの生家も解体対象に含まれていた。

 市議会は、ことし1月に解体計画を取りまとめる委員会を開催することになっていた。しかし、これに英政府のグラント・シャップス(Grant Shapps)地域・地方政府担当相が待ったをかけた。

■地元とは温度差

 シャップス担当相はリバプール市議会に送った書簡のなかで、「都市再生計画はいつも強い感情をかきたてる」と指摘し、「多くの人が文化的に重要な建物だと思うような、たとえば世界一有名なバンドのドラマーの生家などであれば、その気持ちはさらに高まるというものだ。だからこそ、たった1台のブルドーザーでマドリン・ストリートを整地してしまう前に、あらゆる選択肢を検討し尽くしたことを確かめておきたい」と述べた。

 シャップス担当相は、最終的にはリバプール市民が決めるべきだとしながらも、リンゴ・スターの生家を保存するという地元の提案を十分に検討するよう要請した。

 一方、リバプール市議会の報道官は、地元住民に対する説明は十分になされており、また住民たちが「居住環境にうんざりし、(解体の)計画延期にうんざりしていることは明白なこと」と説明し、「(住民は)早急にこれらの建物を解体し、生活を営めるように求めている」と語った。

 ビートルズのバンド仲間だったジョン・レノン(John Lennon)とポール・マッカートニー(Paul McCartney)の生家は、人気の観光スポットとなっている。(c)AFP