【12月9日 AFP】世界各国の汚職を監視している非政府組織(NGO)、「トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency InternationalTI)」は国際腐敗防止デーの9日、調査報告書「世界腐敗バロメーター(Global Corruption Barometer)」の2010年版を公表した。

 86か国・地域の9万1781人を対象に日常生活で小額の賄賂を支払った経験について尋ねたもので、調査は6月1日から9月30日までの4か月間に行われた。この調査は2003年に始まり、今回で7回目。今回初めて中国、バングラデシュ、パレスチナ自治区が調査対象に加えられた。

 過去1年間に、税関、教育、司法、医療、警察、土地関係、登録・許認可関係、税務関係、公共サービス(電話、電気、水道など)の9分野のうちのいずれかに贈賄した経験があると回答した人は全体で25%の上った。9分野のうち最も腐敗がひどかったのは警察で、警察と関わる必要が生じた回答者のうち29%が贈賄したことがあると回答した。

 地域別では、贈賄経験率が最も高かったのはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で56%だった。以下、中東・北アフリカ(36%)、旧ソ連新独立国家(32%)、ラテンアメリカ(23%)、トルコとバルカン諸国(19%)、アジア太平洋地域(11%)と続き、欧州と北米はともに5%だった。
 
 贈賄した理由は、「当局とのトラブルを避けるため」が最も多く44%、「迅速に処理させるため」が22%、「受ける資格のあるサービスを受けるため」が17%、「分からない」が14%、「思い出せない」が3%だった。また、高所得者よりも低所得者のほうが、贈賄した経験のある割合が高かった。

 国連は2003年、汚職に対する問題意識を喚起し、反汚職意識を普及する目的で12月9日を国際腐敗防止デーと定めている。(c)AFP