【12月7日 AFP】いわゆる「大人のおもちゃ」は長らく、怪しげな製品としての地位に甘んじてきた。だが近年、欧米では可愛いアヒル型のバイブレーターやイルカの形をしたディルド(人工ペニス)など、女性向けのおしゃれで洗練されたセックス玩具が次々と登場。女性向けの「大人のおもちゃ」市場は目覚しい発展を遂げてきた。

 そして今、セックス玩具メーカーは、ようやく男性向け玩具のイメージ向上に取り組み始めた。

 「女性向けセックス玩具市場は、今や花盛り。今度は男性向けの番だ」と、仏パリ(Paris)で高級セックス玩具チェーンを展開するパトリック・プリュボ(Patrick Pruvot)さんは話す。

 プリュボさんによると、女性のセックス玩具使用が比較的、寛容な目で見られていることに対して、男性のセックス玩具使用はタブー視されがちで、購入に至るまでには勇気を要するという。

「女性がセックス玩具を用いるのは、自身の体を開拓するためだ。だが、男性の場合は彼女がいない欲求不満を解消するためとみられてしまう」(プリュボさん)

■新境地を開く日本製品

 こうしたなか、男性用セックス玩具の新境地を切り開いたのが、「アダルトグッズに革命を起こす」とうたう日本の成人用玩具メーカー、典雅(Tenga)だ。

 典雅のセックス玩具ラインアップ「TENGA」シリーズは、鮮やかなレッドとシルバーや、ブラックとレッドのストライプを基調とするシャープでスタイリッシュなデザインだ。まるで男性用シャワージェルのパッケージのようだ

 しかしその外観にだまされてはならない。シリコーン製の内部は入り組んだ形状になっていて、そのウェットでソフトな感触は男性を「かつて経験したことのない感覚」へと導く。

■世界で1300万個を販売

 日本で2005年に発売された「TENGA」シリーズは現在、世界40か国で販売されている。世界市場での販売数は1300万個で、このうち150万個は欧米市場で売れている。

「TENGA」の最新製品は、環境を考慮して再使用が可能なリユーザブル仕様となっており、数年以内に海外市場の売り上げが日本市場を上回ると期待されている。

 プリュボさんの店でも1年半前から「TENGA」を輸入販売しており、今ではパリ市内3店舗で合わせて1か月に1000個が売れている。好調な売り上げの決め手は、やはりセックス玩具には見えないデザインにあるようだ。

 「大人のおもちゃ」の精神的な効用を説く人もいる。プリュボさんの同僚、フルール・ブレト(Fleur Breto)さんは、「会社や家庭、そしてベッドで常に成果を求められて疲れ果て、性科学者に紹介されてうちの店に来るお客さんもいる。この手の製品を使うと、手っ取り早く問題を乗り越えられることもあるんです」。(c)AFP/Emma Charlton