【11月16日 AFP】英国で、クリスマス商戦の目玉商品としてトナカイ肉を販売したスーパーマーケットが、動物愛護団体から集中砲火を浴びている。

 英全土に530店舗を展開する独スーパーマーケットチェーン「リドル(Lidl)」は、クリスマス向け高級食材シリーズとして、英国内の店舗でシベリア産トナカイ肉を1パック350グラム、6ポンド(約800円)で売り出した。

 サンタクロースがプレゼントを配るソリをひくトナカイは、伝統的にクリスマスのイメージと深く結びついた動物だ。

 そのトナカイたちを劣悪な環境下に置いていると、動物保護団体がリドルにかみついた。

 菜食主義者の動物保護団体「Vegetarians International Voice for Animal」のジャスティン・カースウェル(Justin Kerswell)氏は「死んだトナカイの肉を売り、クリスマスの魔法を台無しにした」とリドルを糾弾。「高級食材の名のもとに、野生動物の搾取で成り立っている業界の真実を覆い隠している」と、業界誌「グローサー(The Grocer)」に語った。

 シベリアのトナカイ飼育では、囲い込みにスノーモービルが用いられるが、カーズウェル氏はヘリコプターやオートバイで追い立てることもあると主張。こうした飼育方法はトナカイに多大なストレスとなり、混乱したトナカイは筋肉を消耗させてしまうと語った。

 過激なキャンペーンで知られる国際動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」も、「ルドルフ(赤鼻のトナカイ)を食肉処理場で薄切りにし、ステーキ肉としてクリスマスの食卓に出そうなどという考え方に、ぞっとする」との声明を発表した。 

 一方、リドル側は、こうした批判に対し、トナカイたちは、自然の生息環境下で香草や野草を食し、動き回るスペースも十分にあると反論している。

 リドルでは、クリスマス向け高級食材としてトナカイのほか、キジ、シカ、スプリングボック(アフリカに生息するウシ科の動物)などの肉を取り揃えている。(c)AFP