【10月5日 AFP】英国では、教師の70%以上が生徒の素行の悪さから辞職を考えたことがある―全英教員組合(NUT)などが全英の教師約400人を対象に9月に実施した調査で、このような結果が明らかになった。

■年々悪化する生徒の態度

 調査によると、教員として働きはじめてから現在までに、学級内での生徒の態度が悪化したと答えた教師は全体の90%以上。また半数近くが、現在教えている、または直近に教えた学校の生徒の態度について「不適切」と答えた。一方、「良い」「優れている」と回答した教師は約20%にとどまった。

 また、50%を超える教師が、前年の1年間に生徒から言葉による授業妨害を日常的に受けたと答え、授業への取り組みを生徒が拒否する例も毎日のようにあったとの回答も約30%に上った。

 調査の結果、教師たちが問題行動を起こす生徒への対応によって健康を害し、多くが転職を考えていることも明らかになった。また、3人に1人に休職経験があり、5人に2人が別の学校への異動を願い出ていた。さらに、ストレスや不安、うつ症状を訴えた教師は81.2%に上った。


■政府は教師の権限強化へ

 一方、教育省が前週発表した調査結果によると、問題行動の責任は生徒の親に負わせるとした前労働党政権の対策は、教育現場で成果がみられていない。

 こうしたことから同省は8月、校内における生徒の素行改善を目指した新たな対策案を発表した。新方針は、校長や教職員が、生徒の持ち物から携帯電話やポルノ雑誌、たばこなどを捜索する権限を認め、教室内で腕力を用いた対応が必要となった場合の指針を示している。

 これについてマイケル・ゴーブ(Michael Gove)教育相は、「教師に権限を戻すことで、学校内で発生した問題行動に対応できるようになる」と説明している。(c)AFP