【9月22日 AFP】ドイツ各地の学校に、クラス全体の成績を上げる試みとして「学習補助犬」が導入されている。

 南西部カールスルーエ(Karlsruhe)のとある学校では、外はどんよりしているというのに、教室内には明るいムードが漂っている。6歳のゴールデンレトリバー、パウラ(Paula)がいるおかげだ。

「パウラ、こっちにおいで」と生徒たちが呼ぶと、パウラは床にまかれた答案用紙をくわえ、生徒1人1人に配っていく。答案用紙にはパウラがくわえやすいよう、コルクのつまみが付いている。

 答案用紙を受け取った生徒はパウラの頭をなで、ごほうびとしてコロッケを差し出す。

「例え算数の授業でも、黒板まで行くことが楽しみになりました」と、ある12歳の生徒が話す。

 教師のベティーナ・ブレヒト(Bettina Brecht)さんは、飼い犬のパウラを5年前から教室に連れてきている。「親御さんたちは最初、懐疑的でした。子どもたちが果たして勉強に集中できるのかという声、わが子が犬にかまれるのではないかという声がありました」

 だが、それらが杞憂(きゆう)だということをパウラは証明した。

 ブレヒトさんは、「彼女は教師と生徒の間の冷たい溝を取り払ってくれました」と言う。生徒たちに自信を持たせることにも一役買っているという。

■約120校が学習補助犬を導入

 ドイツでは、1990年代末から、一部の学校が学習補助犬を導入してきた。その数は、小学校から高校まで約120校。ドルトムント(Dortmund)近郊で養護学校の教師をしているリディア・アグステン(Lydia Agsten)さんによると、ドイツの教育制度に正式に組み込まれているわけではないので、この数はあくまでも推定だという。

 一方で、犬による学習効果について博士論文を執筆しているスザンヌ・ヴィレ(Susanne Wille)さんは、「これまでのところ、犬が生徒の学習の進歩に影響を及ぼすことを示す明確な証拠は見つかっていない」と話している。(c)AFP