米大学新入生の大半にとって「ベートーベンは犬」?米大学調査
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【8月18日 AFP】ことし大学に進学する米国の若者たちの大半は、筆記体が書けず、電子メールは遅すぎると感じていて、さらにベートーベン(Beethoven)は映画に出てくる犬の名前で、ミケランジェロ(Michelangelo )はコンピューターウイルスだと思っている。米ベロイト大学(Beloit College)の教授らが、このような調査結果を発表した。
ベロイト大学が、その年に大学に進む若者を調査して毎年発表している「マインドセット」の最新版によると、ことし入学して2014年に卒業する予定の学生たちにとって、チェコスロバキアが存在したことはなく、ファーギーは公爵夫人ではなくポップシンガー。クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)はダーティーハリー(Dirty Harry)ではなく映画監督で、ジョン・マッケンロー(John McEnroe)はテニス選手ではなくテレビCMに出ている人だ。
同大学のトム・マクブライド(Tom McBride)人文学科教授と元広報責任者のロン・ニーフ(Ron Nief)氏が、このリストを初めて作成したのは1998年。本来は教授陣に時代の流れを意識させるのが目的だったが、リストはすぐに、時代の変化や、ある世代に影響を与えた重要な文化・政治的イベントを把握するのに役立つ資料として人気を博した。
■1998年に誕生、人気資料に
1998年の新入生をターゲットとした最初のリストでは、1980年に生まれた若者たちはローマ法王といえば、ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)の1人しか知らないことが明らかになった。
ニーフ氏とマクブライド教授は、1年間かけてこのリストを作成している。外部からの助けを借りたり、学生が生まれた年に出版された定期刊行物や文芸作品、有力メディアなどを徹底的に調査する。
「そのうえで、あたりの18歳をつかまえて、さまざまなトピックを振ってみる。相手が『この人何を言ってるのかわからない』といううつろな目をした時が、『マインドセットの瞬間』だよ」とニーフ氏は語る。
そういった瞬間をリストに挙げ、さらに歴史に関わる情報も織り交ぜる。例えば、1982年生まれの学生たちにとって、これまでに大統領選挙に出馬したジョージ・ブッシュ(George Bush)という人物は1人しか存在しない。
■学生気質や世相を反映
リストは地政学的状況の変化も映し出し、一方でエイズ(AIDS)治療など、進展が進まない分野をも明らかにする。
2000年の新入生はロシアや中国を「赤」と呼んだことはなく、彼らが生まれた1982年は「エイズで164人が死亡していたことが明らかになり、政府支援の研究開発による治療法の早期発見が『最優先課題』とされていた」という。
1983年生まれの2001年の新入生にとってサラエボ(Sarajevo)は五輪開催地ではなく戦地。そしてカーボン紙は謎の物体だ。
2002年の新入生は南アフリカのアパルトヘイトを知らず、その次の2003年の新入生にとってバナナ・リパブリック(Banana Republic)は衣料品チェーンであって、南米のかいらい政権のことではない。
また、2009年の新入生にとってボクサーのマイク・タイソン(Mike Tyson)は「前から凶悪犯」だが、その5年前の学生にとっては「前から有力なボクサー」だった。
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)がジャクソン・ファイブ(Jackson Five)で歌っている時の姿を覚えている人たちは、リストを見ると、自分が年をとったのを実感する人かもしれない。
■年齢を思い知らされる?
しかしブルーになるのは若者も同じのようだ。
「25、6歳の人までもが、このリストを読むと老けた気がすると言いますよ」とニーフ氏は語る。
「2年前までは、タイプライターのタイピングを学んだという生徒も数人いた」という。しかし、2008年の新入生のほとんどは、IBMがタイプライターを製造したことがあることすら知らなかった。
2009年に卒業した2005年の新入生のうち、入学時にネクタイの結び方を知っていたのはわずか数人で、ほとんどの学生はイランはイラクと戦争をしたことがないと回答した。
そして今年卒業した学生たちは、新入生だった2006年には、ドイツが分断されていたことはなく、プロのスポーツ選手はずっと五輪に出場しており、リアリティーショーは昔からテレビで放送されていて、米航空機でたばこが吸えることなど昔からなかった、と考えていた。(c)AFP/Karin Zeitvogel
【参考】マインドセット・リスト(英語)
ベロイト大学が、その年に大学に進む若者を調査して毎年発表している「マインドセット」の最新版によると、ことし入学して2014年に卒業する予定の学生たちにとって、チェコスロバキアが存在したことはなく、ファーギーは公爵夫人ではなくポップシンガー。クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)はダーティーハリー(Dirty Harry)ではなく映画監督で、ジョン・マッケンロー(John McEnroe)はテニス選手ではなくテレビCMに出ている人だ。
同大学のトム・マクブライド(Tom McBride)人文学科教授と元広報責任者のロン・ニーフ(Ron Nief)氏が、このリストを初めて作成したのは1998年。本来は教授陣に時代の流れを意識させるのが目的だったが、リストはすぐに、時代の変化や、ある世代に影響を与えた重要な文化・政治的イベントを把握するのに役立つ資料として人気を博した。
■1998年に誕生、人気資料に
1998年の新入生をターゲットとした最初のリストでは、1980年に生まれた若者たちはローマ法王といえば、ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)の1人しか知らないことが明らかになった。
ニーフ氏とマクブライド教授は、1年間かけてこのリストを作成している。外部からの助けを借りたり、学生が生まれた年に出版された定期刊行物や文芸作品、有力メディアなどを徹底的に調査する。
「そのうえで、あたりの18歳をつかまえて、さまざまなトピックを振ってみる。相手が『この人何を言ってるのかわからない』といううつろな目をした時が、『マインドセットの瞬間』だよ」とニーフ氏は語る。
そういった瞬間をリストに挙げ、さらに歴史に関わる情報も織り交ぜる。例えば、1982年生まれの学生たちにとって、これまでに大統領選挙に出馬したジョージ・ブッシュ(George Bush)という人物は1人しか存在しない。
■学生気質や世相を反映
リストは地政学的状況の変化も映し出し、一方でエイズ(AIDS)治療など、進展が進まない分野をも明らかにする。
2000年の新入生はロシアや中国を「赤」と呼んだことはなく、彼らが生まれた1982年は「エイズで164人が死亡していたことが明らかになり、政府支援の研究開発による治療法の早期発見が『最優先課題』とされていた」という。
1983年生まれの2001年の新入生にとってサラエボ(Sarajevo)は五輪開催地ではなく戦地。そしてカーボン紙は謎の物体だ。
2002年の新入生は南アフリカのアパルトヘイトを知らず、その次の2003年の新入生にとってバナナ・リパブリック(Banana Republic)は衣料品チェーンであって、南米のかいらい政権のことではない。
また、2009年の新入生にとってボクサーのマイク・タイソン(Mike Tyson)は「前から凶悪犯」だが、その5年前の学生にとっては「前から有力なボクサー」だった。
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)がジャクソン・ファイブ(Jackson Five)で歌っている時の姿を覚えている人たちは、リストを見ると、自分が年をとったのを実感する人かもしれない。
■年齢を思い知らされる?
しかしブルーになるのは若者も同じのようだ。
「25、6歳の人までもが、このリストを読むと老けた気がすると言いますよ」とニーフ氏は語る。
「2年前までは、タイプライターのタイピングを学んだという生徒も数人いた」という。しかし、2008年の新入生のほとんどは、IBMがタイプライターを製造したことがあることすら知らなかった。
2009年に卒業した2005年の新入生のうち、入学時にネクタイの結び方を知っていたのはわずか数人で、ほとんどの学生はイランはイラクと戦争をしたことがないと回答した。
そして今年卒業した学生たちは、新入生だった2006年には、ドイツが分断されていたことはなく、プロのスポーツ選手はずっと五輪に出場しており、リアリティーショーは昔からテレビで放送されていて、米航空機でたばこが吸えることなど昔からなかった、と考えていた。(c)AFP/Karin Zeitvogel
【参考】マインドセット・リスト(英語)