【7月30日 AFP】(一部訂正、写真追加)市街地が拡大し、交通渋滞が深刻なロンドン(London)で30日、「ロンドン・サイクル・キャンペーン(London Cycle Campaign)」と題したレンタサイクル事業が始まる。2012年の五輪開催に向け、道路の混雑解消を目指す「自転車革命」だ。

 導入される自転車は6000台。大英博物館(British Museum)やバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)など市内400か所に設けられた駐輪施設から自転車を借り、目的地付近の駐輪施設で乗り捨てることができる。利用料金は1日1ポンド(約130円)、1週間では5ポンド(約650円)、年間レンタルでは45ポンド(約6000円)。30分以内の利用は無料だ。返却されなかった場合や破損させた場合に備え、デポジットが必要。

■開始前にすでに1万人が登録

 事業開始前にすでに1万人以上が利用登録を終えており、市長の交通顧問はAFPに対し、「人気のシステムになるだろう」と自信を見せた。

 事業は、自身も熱心なサイクリストであるロンドンのボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長の肝いりで始まった。五輪開催までに自転車利用率を現在の2%から5%まで増やすことが目標。ジョンソン市長は今月、記者会見で「自転車革命によって五輪開催までにクリーンで緑豊かで安全な街にすることが目的のひとつだ」と意気込みを語った。

 事業責任者のトム・ボダノビッチ(Tom Bogdanovicz)氏によると、複数の世論調査で、ロンドン市民の3人に1人が自転車を利用したいと回答しており、必要なのは背中を押すことだけだったと語る。

■「カーレス」のロンドン五輪を目指す

 ロンドン五輪主催側は、100%の観客に公共交通、徒歩、自転車のいずれかを会場まで利用してもらう計画で、その実現ために地下鉄・鉄道網に多額を投入して整備を進めている。

 2003年に導入された中心部に乗り入れる車に課金する「コンジェスチョン・チャージ(渋滞税)」で混雑はいくぶん緩和されたが、国際五輪委員会(International Olympic Committee)関係者は今月、準備に進ちょくは見られるが依然「交通が問題だ」と指摘した。

 レンタサイクル事業の導入と並行して、ロンドン中心部と郊外を網目状に結ぶ自転車専用道路も導入される。五輪会場の付近を通る部分の道路は来年開通する予定だ。

 レンタサイクル事業はパリ(Paris)や上海(Shanghai)など世界の多くの都市で導入されているが、問題もある。パリのレンタサイクル事業を手がける大手屋外広告会社ジェーシードゥコー(JCDecaux)によると、パリではこれまで1万6000台が破損し入れ替えねばならず、8000台が返却されなかった。中には東欧で見つかったものもあったという。(c)AFP/Alice Ritchie