【7月29日 AFP】美男美女限定のデートサイト「ビューティフル・ピープル・ドット・コム(BeautifulPeople.com)」が前月、不妊に悩む人向けに精子や卵子の提供者を紹介するフォーラム「ファーティリティー・フォーラム(Fertility Forum)」を立ち上げた。目的はずばり「美しい子どもをつくる」ことで、同サイトとしては異例なことに「醜い人」でも利用が可能だ。

 同サイトの最高経営責任者で自称「イケメン」英国人のグレッグ・ホッジ(Greg Hodge)氏によると、精子・卵子提供フォーラムは不妊に悩む人たちを助ける高尚な目的をもった「慈善事業」で、仲介料はとらないという。

 子どもが欲しい醜いカップルに、遺伝的に恵まれた精子や卵子を提供したいという美しいサイト会員は、フォーラムに自身の写真を掲載することができる。フォーラムにはビューティフル・ピープルのサイトからアクセスできる。

■創設者「良い遺伝子を独り占めするのは自分勝手」

 青い瞳が魅力的なデンマーク人のサイト創設者、ロバート・ヒンツェ(Robert Hintze)氏は「当初は美しくない人にも間口を広げることには抵抗があった。しかし醜い人を含め、誰もが美しい子どもを世に送り出したいと思っているのだから、われわれの優れた遺伝子を独り占めするような勝手は許されないだろう」と語った。

 ビューティフル・ピープルは2002年にデンマークで立ち上げられ、現在190か国で利用されている。入会するためには写真提出が必要で、登録会員60万人の投票で決まる。退会もしかりで、最近も「太りすぎ」を理由に5000人が除名された。

 この6月、新たに精子・卵子提供フォーラムが開設されると、一部では「ナルシズムにもほどがある」と批判もされたが、申し込みは殺到したという。

 卵子提供の意思を示しているある女性(30)はAFPに対し、最初は人と出会い、人脈を広げるためビューティフル・ピープルに登録したが、不妊に悩む友人を見るうちに、フォーラムに興味を持ったと語る。卵子を提供するのはお金やうぬぼれ、いい格好をしたいということではまったくなく、「カップルに新たな生命というギフトを与え、幸せな家庭を築く手助けをしたい」という気持ちからだという。

 一方、25年にわたり不妊治療に携わってきた南カリフォルニア大学ケック医学部(Keck School of Medicine of the University of Southern California)の専門家、リチャード・ポールソン(Richard Paulson)氏は、美しい子どもが生まれる保証はないと忠告する。

「結婚相手であれ生殖のための相手であれ、将来のパートナーをウェブ上に投稿された情報で決めることは甘いとしか言いようがない」というポールソン氏だが、「この手のウェブサイトが危ないとか脅威だとかは思わない。ただ単純にかなり面白いと思う」。(c)AFP/Paula Bustamante