【7月19日 AFP】今月6日、バルト海の底から世界最古とみられる約230年前のシャンパンが発見された。早速テイスティングをする恩恵にあずかったワイン専門家らは17日、その味と香りを絶賛している。

 海中55メートルに沈んでいた難破船から発見されたのは、ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)のプレミアムブランドとみられる。フランスのルイ16世(Louis XVI)から、ロシア皇族への贈り物だった可能性があるという。

 保存状態がよかったのは、海底という完璧な「冷暗所」にあったことが幸いした。製造年が確定すれば、飲用可能なシャンパンとして世界最古となる。

 探査に参加したダイバーのリーダー、クリスチャン・エクストロム(Christian Ekstroem)氏は、「モエ・エ・シャンドン(Moet & Chandon)によれば、98%の確率でヴーヴ・クリコだと考えられるそうだ」と語り、分析のため同社にサンプルを送ったことを明らかにした。

 コルクにはいかりのマークがあり、同社によるとそのマークを使っている製造者は他にないという。

 7人のスウェーデン人ダイバーたちは、7月6日にフィンランドのオーランド(Aaland)諸島沖の難破船からシャンパンのボトルを発見した。

 エクストロム氏は、「視界が非常に悪く、1メートル先も見えない状態だった。船名も船鐘も見つからなかったので、ボトルを1本持って浮上した」と語った。

 ハンドメードのボトルにはラベルがついておらず、コルクにはアンドラ公国のJuclarと記されている。

 記録によると、ヴーヴ・クリコが最初にシャンパンを製造したのは1772年だが、当時のシャンパンは10年間寝かせられたという。

「つまり確実に1782年以降で、かつ、フランス革命で製造が途切れた1788年から89年以降でもないわけだ」とエクストロム氏は指摘した。

 エクストロム氏にテイスティングを依頼されたワイン専門家のElla Gruessner Cromwell-Morgan氏によると、シャンパンには気泡が立っており、「文句のつけようがないほど素晴らしい」という。

 Cromwell-Morgan氏は、「まだ冷蔵庫にグラス1杯分が残っていて、5分ごとに香りをかぎに行ってしまうぐらい。まるで夢のようです」とコメントしている。シャンパンは濃い金色で、タバコの香りも強いが、ブドウ、オークなどの濃厚な香りがあり、味は甘いが酸味もあるという。

 同氏は、「わたしたちは、このシャンパンがフランスのルイ16世からロシア皇族へ送られたとみています。製造者の記録に、目的地にたどり着かなかった商品があるという記述が残っています」と指摘した。

 事実であれば、ロンドン(London)で前年発見された1825年のシャンパン「ペリエ・ジュエ(Perrier-Jouet)」の記録を大幅に上回る世界最古の飲用可能なシャンパンとなる。(c)AFP

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