【7月9日 AFP】「フィエスタ(祝祭)の時が訪れよう」――。サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で、これまでドイツ代表チーム全6試合の勝敗を100%の的中率で予言してきたタコのパウル(Paul)が9日、決勝と3位決定戦の行方を占い、スペインの初優勝を予言した。

「神託」は今回もドイツ西部オーバーハウゼン(Oberhausen)の水族館「シーライフ(Sea Life)」からテレビで生中継された。いつもどおり対戦国同士の国旗を張りつけたごちそう入りのプラスチック・ケースをパウルの前に下ろし、パウルが先に開けたほうが「勝者」だ。

 まずパウルは10日の3位決定戦を占い、自分の居住国であるドイツが、ウルグアイを下すと予言した。

 そして11日に行われる決勝戦の占いでは、パウルは即座に決断し、まっすぐスペインの箱に向かったかと思うとふたをこじ開け、ごちそうを飲み込んだ。

■占い結果に脅迫、スペインからは「警護」申し出も

 しかし、サッカーの試合結果を見通すパウルの「予知能力」による予言は、いまや命がけの「危険な仕事」になりつつある。準決勝でドイツの敗戦を見事的中させてしまったパウルにドイツ人サポーターは怒り心頭で、水族館には「スシにしろ」「炒めてしまえ」などという「殺害脅迫メール」が続々舞い込む始末。

「スタッフの誰かが片時も離れずパウルを見守るようにしています」と水族館の担当者は話す。

 逆に、準決勝でずばり予言どおりに勝利したスペイン政府からは、「身辺警護」の申し出さえあった。ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(Jose Luis Rodriguez Zapatero)首相はラジオ番組で、「タコの身の上を案じている。警護チームを派遣しようかとさえ考えている」と語り、ミゲル・セバスティアン(Miguel Sebastian)工業・観光・商務相は、「身の安全のために、タコを速やかにスペインに移送したほうがいい」と述べた。

 ちなみにパウルの生まれはイングランドだ。(c)AFP