【7月3日 AFP】中国社会において極めて重要な試験、全国大学統一入試「高考(gaokao)」で同級生たちよりも少しでも高得点を得ようと、同国中部・湖南(Hunan)省の学生たちは、カンフーマスターの認定証獲得に高額の受講料を支払っているという。中国国営英字紙・環球時報(Global Times)が伝えた。

 環球時報によると、湖南省の「高考」成績トップ集団の中には、試験の結果にさらに得点を上乗せするため、カンフー講座に2万元(約26万円)支払った生徒たちもいる。

 ある学生は、「高校1年生のとき、校長先生からカンフー講座を受ければ高考で20点加点される。受講するつもりはないかと尋ねられました」と語った。「加点してもらえない場合は、受講料は返金されるとのことでした」という。

 これは、高考で子どもに少しでも高い点をとらせたいと苦心する親たちの労苦を表すほんの一例だ。

■人生の分岐点「高考」

 今年は1000万人が高考を受験する。受験生にとって高考は、エリート街道を進むか、一般労働者になるかの人生の分岐点である。

 高考では、学術以外の能力も評価しようという方針に基づき、スポーツや音楽で才能を示した学生に追加点を与えている。しかし、この追加点を求めて過激な手段に打って出る学生も多い。

 今年も南東部福建(Fujian)省で行われたアモイ国際マラソン(Xiamen International Marathon)で、大学入学に有利となる上位を獲得するため、100位までのうち少なくとも30人が不正行為をはたらき失格となる出来事があった。

 また、中国北西部では、試験場の受験生に受信機や受話器を販売したとして6人が逮捕される事件があり、この事件をめぐり少なくとも3人が自殺した。

 環流時報によれば、いくつかの学校がカンフー道場と提携したが、カンフーが不得意な生徒にカンフー試験で高得点が与えられていたことが発覚し、その公平性に疑問の声が上がっている。ほかにも、貧しい家庭の子どもは受講料を支払うことができないという問題もある。(c)AFP