【6月9日 AFP】ベルギーで8日、全身を覆う「ブルカ」を授業中も着用する意志を示していたイスラム教徒の女性高校教師が解雇された。

 この教師は、首都ブリュッセル(Brussels)の南にある都市、シャルルロワ(Charleroi)の高校で数学を教えていたトルコ生まれのイスラム教徒の女性教師で、2年半前から授業中にブルカを着用していた。

 学校の新年度が始まるにあたって、学校側は女性教師にブルカを脱ぐよう求めたが、女性教師はこれを不服として提訴。裁判所はフランス語圏地域内の公立教育機関は宗教的に中立であるべきだとの学校側の主張を認めた。

 だが3月の上訴審では、学校を管轄するシャルルロワの自治体は宗教的な象徴を禁ずる規則を出していないとして、学校側の主張は退けられた。このため女性教師は学校に戻ったが、自治体側は宗教的象徴を全て禁じる規則を即時に導入して対抗。学校幹部らは8日、市長も同席するなかで女性教師と話し合いを持ち、再度ブルカを着用しないよう求めたが、女性教師はこれを拒否したため解雇を決定した。

 イスラム教徒の女性が着用するブルカやニカブなどの全身を覆う衣服をめぐっては、ベルギー国民の意見も二分されている。

 4月末には下院で、顔を覆うなど身元確認が不可能となる衣服を公の場で着用することを禁じる法案が可決された。法案は上院に送られたが、成立すると欧州で初めて国家がブルカ着用を禁止することになる。(c)AFP