【6月9日 AFP】同性愛を法律で禁止されているマラウイで前月、男性同士で結婚の儀式を行ったとして懲役14年の判決を受けながら、大統領恩赦でその刑を免れたカップルが8日までに、関係を解消したと明らかにした。結婚の儀式を行ってから約半年の短い「婚姻期間」だった。

 この26歳と20歳の男性のカップルは前年12月、マラウイの中でも保守的な土地柄で知られる商業都市ブランタイア(Blantyre)で象徴的な同性婚の儀式を行った数日後、当局に逮捕された。この逮捕をきっかけに、マラウイの反同性愛法に対する国際的な抗議が巻き起こった。

 前月29日になって、ビング・ワ・ムタリカ(Bingu wa Mutharika)大統領が2人に恩赦を与えたが、2人は裁判中からそれまでの約半年間、拘置されていた。

 しかしようやく釈放されてから2週間を経ずして、2人は関係解消を発表した。26歳の男性はAFPの取材に対し、先日までのパートナーへの愛情はすでに冷め、現在は女性と恋愛中だと語った。

 20歳の男性のほうは、元パートナーの決心を新聞で知ったが「落胆はしていない」と語り、元パートナーが結婚するのは自由であり、「自分も自分の人生の伴侶と結婚する。まわりに素敵な男性はたくさんいる。これからもゲイでいる」と語った。また破局については、相手の男性が親族から「女性とつきあうよう」圧力を受けていたとも語った。

 26歳の男性は「留置されている間に学んだ。二度と同性愛的なことはしない」と述べた。またこの男性のおじも「元のさやに絶対に戻らせないようにしたい」と語り、一族が住む村に今後足を踏み入れないよう、20歳の男性に警告したことを認めた。このおじは同性婚について「まったくの異文化。われわれの文化では聞いたこともない」と切り捨てた。
 
 マラウイの財政の大半は欧米諸国の援助によって支えられているが、今回同性愛カップルに下された実刑判決はそうした援助国から痛烈な批判を受けた。これを機に国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は世界中の反同性愛法を改めるよう呼び掛けた。(c)AFP

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