【6月4日 AFP】広大なオーストラリアで「最も暑い町」と言われる内陸部の町で、唯一のパブが閉店したところ、客たちが120キロ離れた隣町のパブに押し寄せ、ビールや酒類をすっかり飲み干してしまうという一件があった。

 ことの発端となったのは、ゴールドラッシュの時代に栄えた歴史で観光客に人気の高いウエスタンオーストラリア(Western Australia)州の町マーブルバー(Marble Bar)。1920年代には気温38度以上の日が同国史上現在でも最長の160日間を記録したこともあり、「行ったら誰もがビールを飲みたくなる町」とさえ言われている。ところがこのマーブルバーで117年間続いたアイアンクラッド・ホテルのパブが5月に閉店してしまった。

 住民たちは、オーストラリア大陸最高に暑い辺境の地で、冷えたエールビールなしではやっていられないとばかりに、120キロ離れた「いちばん近い町」、ナラガイン(Nullagine)に車を走らせた。目指したのは、ナラガインのコングロマリット・ホテル。

 ナラガインは普段住民100人の小さな町だが、同ホテルのマネージャー、ブレット・パウター(Brett Powter)さんは、マーブルバーのパブが閉店して以来、ものすごい勢いでナラガインのストックも減り、「もう最後の一滴まで尽きそうだ」と語った。「ラムもないし、バーボンもない。今日のビールは10ケースでもつと思うが、25ケースでも足りない日もあるんだ」。

 地元自治体ではすでにマーブルバーのアイアンクラッド・ホテルのパブ再開のために動き始めているが、まだ時間がかかるようだ。パウターさんはとにかく今週の入荷を待っていると語った。(c)AFP