【6月3日 AFP】バーレーンの首都マナマ(Manama)で店を営むハディージャ・アーメド(Khadija Ahmed)さん(32)は、イスラム女性が全身を覆う黒いマント、アバヤを身につけている。一見したところ、湾岸アラブ諸国初のポルノショップの経営者のようには見えない。

 イスラム教はベッドの上の快楽を禁じてはいないと言う彼女は、セックス用のゼリー、「食べられる」下着、バイブレーターを販売することに良心の呵責(かしゃく)を感じていない。

「この店は、西洋にあるようなポルノショップではありません。夫婦を手助けするための場所です。そして、セックスを存分に楽しむことができるのは、夫婦だけなのです」・・・無論、客が既婚者か否かを確認するために、身分証明書の提示を求めているわけではないのだが。

■不倫の多さが開店の動機に

 彼女は2007年、まずオンライン上にポルノショップ「Dar Khadija」を開設した。大盛況だったため、今度は国の許可を取り付けてマナマに店舗を構えた。

 不倫をする男女が実に多いという事実に行き当たったことが店を開くきっかけだった。店のコンセプトは、「夫婦に一段とエキサイティングな性生活を送ってもらうためのサービスを提供する」こと。「既婚者たちがなぜ不倫をするのか?性生活に刺激がないからですよ」(アーメドさん)

 むちやレザーのボンデージスーツといったものは置いていないが、ベッドで用いる際どいアクセサリー、挑発的な下着から、高級イブニングドレス、刺しゅう入りのアバヤといった女性の各種衣装まで、買い求めることができる。

「離婚寸前だったというお客さんから、『結婚生活の危機を救ってくれた』との感謝の声が寄せられたこともあります」と、アーメドさん。

■女性にひそかな人気

 このような店は、スンニ派の超保守的な隣国サウジアラビアではまず考えられない。比較的リベラルなバーレーンには、サウジをはじめ周辺の保守的なイスラム国家から、こうしたものを求めて多くの人が訪れる。

 もちろん、アーメドさんの商売に対して「恥ずべき事」との批判もある。税関の無理解や関係当局の保守主義のせいで、仕入れた商品(大半を米国から輸入)の到着が大幅に遅れたり、拒否されたりすることもしばしばだ。

 アーメドさんは、「イスラム教は性の快楽を禁じてはいません。敬けんなイスラム教徒に尋ねてみても、『禁じられている』とは言わないでしょう」と主張する。

 なお、売る相手は「責任を果たせる大人」に限定している。客は、女性の方が男性をやや上回っているという。(c)AFP/Mohammad Fadhel