害獣対策に猛禽類、サッカーW杯スタジアムに導入 南アフリカ
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【6月2日 AFP】2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)のスタジアムの1つが、害獣対策として猛禽類に着目し、毒物を使わずにピッチの上空を飛ぶ猛禽類を利用してハトやネズミを追い払っている。
ポートエリザベス(Port Elizabeth)にある、20億ランド(約240億円)を費やして建設された4万6000人収容の「ネルソン・マンデラ・ベイ(Nelson Mandela Bay)」スタジアムには、素晴らしい花弁の形をした屋根の下に、猛禽類を引き寄せるための巣箱が設置されている。
スタジアム責任者のロブ・ヒチェンズ(Rob Hichens)氏は「毒物は一切使っていません。害獣防止にこのような対策をとっているのは、このスタジアムだけです」と話す。
害獣防止対策は、調和がとれるように作られている。つまり、野生の猛禽類がドバトを襲って追い払うと、ドバトの汚れた巣がなくなり、ネズミを引き寄せるドバトのフンもなくなるというものだ。
対策を立てた「Urban Raptor Project(都市猛禽類プロジェクト)」のアーノルド・スラッバート(Arnold Slabbert)さんは「ハトは町中にあふれていて、極めてやっかいな存在だ。町にいるドバトの数を数えたが、1万羽以上いた」と話す。
ドバトのフンはノミや病気を含んでいる上に、座席を汚し、そのフンをネズミが食べる。ドバトは卵を産み育てる巣も作るという。「ハトの問題はすぐに拡大し、ネズミの問題も起きる。ハトはスタジアムに必要ない、それだけだ」(スラッバートさん)
■ハヤブサやコウモリが飛ぶスタジアム
ネルソン・マンデラ・ベイでは、猛禽類がスタジアムのはるか上空を飛ぶのが見られる。ポートエリザベスの商業地区に近い湖を見下ろすスタジアムのピッチ上では、虫をついばむセキレイも見られる。
「現在のところ、ハヤブサ3羽がスタジアムに住み着き、盛んに狩りをしています。ハトがスタジアムに寄りつかず、ハトの数を極めて効果的に抑制しています。素晴らしい防止対策になっていますよ」とスラッバートさんがいう。
1時間に132匹の蚊を食べるコウモリのための巣箱も、木々の中やスタジアムの屋根の下に設置されている。コウモリは、スタジアムの照明や近くに湖があることから集まってくる昆虫に引き寄せられてやってくる。
チョウゲンボウをスタジアムに引き寄せるため、草食のネズミを周囲の湿地帯に導入してチョウゲンボウの食用にする計画も進行中だ。
「全害獣を統合的に制御する方法を考えている。ここで、小規模だが完全な生態系を作っているのです」とスラッバートさんは話す。
人工飼育されたハヤブサも1羽導入され、100羽ほどがねぐらを作っているカラスを追い払っている。カラスによって電線をつつかれるなどの被害が出ているという。アカバネテリムクのすみかになりそうなものもスタジアムから取り除かれた。
スラッバートさんはスタジアムが建設されるまでの3年間を費やして、害鳥問題になりそうな点を特定した。また同様の害獣防止対策もこの地域で始めた。
スラッバートさんは「このようなことをやっているW杯スタジアムはここだけだし、害鳥問題のないスタジアムもこのスタジアムだけだ」と話した。(c)AFP/Justine Gerardy
ポートエリザベス(Port Elizabeth)にある、20億ランド(約240億円)を費やして建設された4万6000人収容の「ネルソン・マンデラ・ベイ(Nelson Mandela Bay)」スタジアムには、素晴らしい花弁の形をした屋根の下に、猛禽類を引き寄せるための巣箱が設置されている。
スタジアム責任者のロブ・ヒチェンズ(Rob Hichens)氏は「毒物は一切使っていません。害獣防止にこのような対策をとっているのは、このスタジアムだけです」と話す。
害獣防止対策は、調和がとれるように作られている。つまり、野生の猛禽類がドバトを襲って追い払うと、ドバトの汚れた巣がなくなり、ネズミを引き寄せるドバトのフンもなくなるというものだ。
対策を立てた「Urban Raptor Project(都市猛禽類プロジェクト)」のアーノルド・スラッバート(Arnold Slabbert)さんは「ハトは町中にあふれていて、極めてやっかいな存在だ。町にいるドバトの数を数えたが、1万羽以上いた」と話す。
ドバトのフンはノミや病気を含んでいる上に、座席を汚し、そのフンをネズミが食べる。ドバトは卵を産み育てる巣も作るという。「ハトの問題はすぐに拡大し、ネズミの問題も起きる。ハトはスタジアムに必要ない、それだけだ」(スラッバートさん)
■ハヤブサやコウモリが飛ぶスタジアム
ネルソン・マンデラ・ベイでは、猛禽類がスタジアムのはるか上空を飛ぶのが見られる。ポートエリザベスの商業地区に近い湖を見下ろすスタジアムのピッチ上では、虫をついばむセキレイも見られる。
「現在のところ、ハヤブサ3羽がスタジアムに住み着き、盛んに狩りをしています。ハトがスタジアムに寄りつかず、ハトの数を極めて効果的に抑制しています。素晴らしい防止対策になっていますよ」とスラッバートさんがいう。
1時間に132匹の蚊を食べるコウモリのための巣箱も、木々の中やスタジアムの屋根の下に設置されている。コウモリは、スタジアムの照明や近くに湖があることから集まってくる昆虫に引き寄せられてやってくる。
チョウゲンボウをスタジアムに引き寄せるため、草食のネズミを周囲の湿地帯に導入してチョウゲンボウの食用にする計画も進行中だ。
「全害獣を統合的に制御する方法を考えている。ここで、小規模だが完全な生態系を作っているのです」とスラッバートさんは話す。
人工飼育されたハヤブサも1羽導入され、100羽ほどがねぐらを作っているカラスを追い払っている。カラスによって電線をつつかれるなどの被害が出ているという。アカバネテリムクのすみかになりそうなものもスタジアムから取り除かれた。
スラッバートさんはスタジアムが建設されるまでの3年間を費やして、害鳥問題になりそうな点を特定した。また同様の害獣防止対策もこの地域で始めた。
スラッバートさんは「このようなことをやっているW杯スタジアムはここだけだし、害鳥問題のないスタジアムもこのスタジアムだけだ」と話した。(c)AFP/Justine Gerardy