【5月13日 AFP】末期がんを宣告され、生きる支えにと自分の寿命を賭け、これまでに1万ポンド(約140万円)を勝ち取った英国の男性が、3度目のギャンブルで賭けた生存期間に数週間届かずして前週亡くなった。

 男性はロンドン北部ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)に住むジョン・マシューズ(Jon Matthews)さん(享年60)。2006年4月にアスベストの吸入と関連があるがん、中皮腫と診断され、その時点で翌年までは生きられないだろうと医師に告げられた。
 
 英ブックメーカー(公認賭元業者)大手ウィリアムヒル(William Hill)によると、妻に先立たれていたマシューズさんはこの診断に納得せず、50対1のオッズ(賭け率)で自分が2008年6月1日まで生存できることに100ポンド(約1万4000円)を賭け、予想を的中させて5000ポンド(約69万円)を手にした。

 マシューズさんはさらに同じオッズ、同じ賭け金でもう1年先の2009年6月1日まで生きられることに賭け、再度5000ポンド(約69万円)を手にした。

 そしてもう1年先、2010年6月1日までの生存を目指した賭けのオッズは100対1となり、勝てば1万ポンド(約138万円)を獲得するはずだったが、もう数週間を残してついに前週、マシューズさんは帰らぬ人となった。
 
 ウィリアムヒルでマシューズさんの賭けを担当したグラハム・シャープさんは、マシューズさん死去の報を聞いて大変悲しみながらも、このギャンブルはマシューズさんにとっての楽しみだったのではないかと語った。「彼が最初にこの話を持ってきたときには、われわれは迷いました。悪趣味なことをしていると訴えられるのではないかと思ったのです。けれどこの賭けによって、彼は病気と闘い続ける気概をもてたのではないかと思います」(c)AFP