【4月2日 AFP】英文学の巨匠ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)は実はフランス人だった?――エープリルフールの1日、世界各国のメディアはこぞって「偽ニュース」を報じた。そのほとんどはユーモアあふれた内容で、読者や視聴者を楽しませた。

 英BBCは最も有名な英国人作家、シェークスピアが実はフランス人だったというウソの報道を仕立て上げた。シェークスピアの母親メリー・アーデン(Mary Arden)の本名は、マリー・アルデンヌ(Mary Ardennes)というフランス名だったという「真実を暴露」し、さらにはこの「新発見」のスクープに永遠の宿敵たるフランスの元文化相、ジャック・ラング(Jack Lang)氏まで担ぎ出した。

■グーグルの新名称は「トピカ」

 同じ巨匠でも、インターネット界の巨匠グーグル(Google)は、社名をカンザス州の州都名に取り替えたと「発表」した。エープリルフール限定のグーグルの新社名はトピカ(Topeka)。グーグルが進める超高速ブロードバンド事業の試験サービスを誘致しようと、3月の1か月間、「グーグル市」を名乗ったトピカ市に敬意を表した。

■ベッカム、サッカーW杯で豪陣営に参加?

 負傷のためサッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)への出場が絶望的となったイングランド代表のデビッド・ベッカム(David Beckham)選手をだしに、新聞とラジオが結託して手の込んだ「でっちあげ報道」を展開したのはオーストラリアだ。シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙と豪ABCテレビは、豪サッカー協会がベッカム選手にお見舞いとして果物のかごとカードを贈ったところ、W杯では豪陣営でアシスタントコーチを務めてくれるという確約を取り付けた、と報じた。

■バチカンやオバマ大統領もネタに

 宗教系報道サイトI-mediasは、ローマ法王庁が航空会社の立ち上げを準備していると伝えた。最終的に決定した社名は「バチカンエアー(Vatican Air)」。検討の過程では、「エンジェル・エアー」や現ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)の枢機卿時代の名前ヨーゼフ・ラッツィンガー(Joseph Ratzinger)にちなんだ「ラッツィング・エアー」なども挙がったというストーリーだった。

 一方、インドネシア紙バリ・タイムズ(Bali Times)には、医療保険制度改革法の採決のため前月に同国訪問をキャンセルしたバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、謝意としてワシントンからバリ島のレストランにインドネシアの伝統料理を注文したという「ローカルニュース」が掲載された。

■中には「しゃれにならない」ものも

 おおかたのエープリルフール報道はこうしたほほえましいものだったが、ブルガリアのラジオ局のネタは度を超してしまったようだ。

 偽のラジオインタビューに登場した偽の国際通貨基金(IMF)の専門家が、ブルガリアは通貨レブを廃止してさっさとユーロに切り替えるべきだと提言すると、ラジオ局に苦情が殺到。IMFの地域事務所の所長やブルガリア国立銀行(Bulgarian National Bank)が、国が経済的苦境にある時期にIMFの名を「かたる」こうした冗談は「危険」で「しゃれにならない」と厳しくいさめる事態となった。(c)AFP