【3月11日 AFP】「世界一素晴らしい仕事」と銘打って前年、世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)にあるハミルトン島(Hamilton Island)の管理人を募集したオーストラリアの観光局が、今年は「世界一長距離で珍しいタクシー観光」を打ち出し、5か国からカップル5組の募集を開始した。

 ハミルトン島キャンペーンの成功に続こうと今回、観光局がプロモートするのは「手つかずの荒々しい自然が残る辺境の地」、ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州。

「世界一のタクシー観光」はパース(Perth)からスタートし、9週間をかけてアウトバック(Outback)と呼ばれる内陸部や大陸の西海岸を抜けて、北部の真珠産業地ブルーム(Broome)まで同州内1万1000キロをタクシーで旅する。

 募集しているのはカップルで、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、ドイツ、英国の5か国から5組と、オーストラリア国内から6組を招待、参加者の費用は一切かからない。11組はそれぞれ、コース全体を11区間に分けたうちの1区間を旅行する。1組目は4月9日に出発予定だ。

 一方、カップルたちを乗せて走るタクシーのほうは、パースの運転手400人の応募が殺到。選考結果は3月11日に発表される。

 オーストラリアでは1930年代、エイダ・ビール(Ada Beal)という冒険心旺盛で裕福な女性が、チャールズ・ハード(Charlie Heard)という運転手のタクシーを雇い、同僚2人とメルボルン(Melbourne)-ダーウィン(Darwin)間を往復したという伝説的な実話がある。9000キロを幌(ほろ)張りのタクシーで、3か月で走破。タクシー代は当時の300ポンド、現在に換算すれば2万豪ドル(約165万円)だったという。

 そのエイダ・ビールのタクシー旅行にあやかったと、ウエスタンオーストラリア州観光局のステファニー・バックランド(Stephanie Buckland)局長は語る。もっとも、当時のタクシーとはまったく違う、オフロード耐久性の高い「スタント用」タクシーを使うという。

 参加者はオンラインのビデオブログやマイクロブログの「ツイッター(Twitter)」で旅の様子を中継する。またタクシーにはカメラを搭載、観光局が立ち上げる公式サイトでライブ中継や、料金当てコンテストなども行う。

 前年、リゾート地として知られる豪北東部クイーンズランド(Queensland)州のハミルトン島が「世界一素晴らしい仕事」と銘打って島の管理人を募集した際には世界的な話題となり、数万人の応募があった。(c)AFP

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