【1月28日 AFP】27日、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領初の一般教書演説を聞きながら、全米各地で震える人たちがいた。とはいっても、かれらが震えたのは恐れや怒り、期待のためではない。「一般教書演説ゲーム」なるものを準備し、カクテル・シェーカーを必死に振っていたのだ。

 一般教書演説は米大統領が年頭にあたり、上下両院の議員に対し、基本政策を説明するものだが、「一般教書演説ゲーム」はこの演説を聞きながら、あらかじめ決めておいた言葉やフレーズ、人名、国名などが出てきたら、ゲームの参加者はカクテルのショットかビールを飲みほすというのが基本ルールだ。2002年、当時プリンストン大学(Princeton University)の4年生だったマーク・メルツァー(Marc Melzer)さんとハワード・ドイチュ(Howard Deutsch)さんが考案した。

 今年は大統領が演説中に「希望(ホープ)」「変化(チェンジ)」という言葉を口にした時、また国名ではイラク、アフガニスタン、イラン、パキスタンが出てきたら一杯あおるというルールだった。また、オバマ氏がよく口にする「はっきり言おう(Let me be clear)」、「間違いなく(make no mistake)」というフレーズでも一杯飲むと決められた。さらに前政権から引き継いだ問題にオバマ氏が言及した場合、それから92歳のロバート・バード(Robert Byrd)上院議員をカメラが映した場合には、なにか「年代物」のアルコール飲料を口にするというルールもあった。

 一般教書演説は1時間にも及ぶ。考案者のメルツァーさんによると、このゲームを考えついたきっかけは、当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の「時代遅れなスタイルの」演説をどうすれば最後まで我慢して聞けるか、と工夫した結果だった。

 ブッシュ大統領のときは、核を意味する「ニュークリア(nuclear)」を「ヌークラ(nukular)」と発音するなど「ブッシュ語」と言われた表現で1杯、「神(God)」や神を示唆する言葉が登場したときに2杯飲むというルールでゲームをした、とメルツァーさんは振り返る。「最初にこのゲームを思いついたときは、ものすごく楽しかったよ」。演説上手で知られるオバマ大統領に代わり、ゲームを楽しむ目的も変化し、ルールも一から変える必要があった。「けれど、材料には事欠かないね」

 今年ほかに加わったルールでは、ミシェル・オバマ(Michelle Obama)大統領夫人が映ったら、1ショットを一気飲み。ミシェル夫人の「美しい上腕」が映ったら、バーテンダーが「上腕筋」を使って作った「美しいカクテル」をさらにもう1杯。オバマ大統領が「改革(reform)」と言ったら、「特別ゲスト」が紹介されたら1ショット、ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長の顔がズームインされたら、表情を変えずに1ショット。もしも「刺激(stimulus)」策という言葉が出たら、エスプレッソを1杯・・・何杯もショットを飲んだ後に、このエスプレッソは歓迎すべき「救済」となるだろう。(c)AFP/Karin Zeitvogel