【1月25日 AFP】ヨットによる世界最年少の単独無寄港の世界一周を目指して航海を続ける16歳のオーストラリア人少女、ジェシカ・ワトソン(Jessica Watson)さん(16)が24日、前週末に遭遇したハリケーンでヨットが転覆し「今回はめげそうになった」とブログで告白した。

 前週22日、ワトソンさんは南大西洋で約8時間にわたり、ハリケーンによる強風と10メートルの高波に襲われた。ワトソンさんはブログに「10歳ぐらい老けた感じ」と書いた。
 
 10月にピンク色のヨットでシドニー(Sydney)を出航。嵐に遭遇した時にはすでに目指す総距離2万3000カイリのうち、1万1000カイリを航海し終えていたが、これまでの道程で最も過酷な経験となった。

 ワトソンさんはこの時初めて、マストが横倒しになり水面下に沈む「ノックダウン」を経験したと記している。

「ああいう時こそ、わたしはなんでこんなことをしてるんだろうって自問してしまう。それでも、そんな辛い時間には意味がないんじゃないかって思う理由をいくつもあげてみたけれど、結局どれにも納得できなかった」
 
 嵐の間、ワトソンさんは甲板の下のシートに体をベルトで固定し、体をこわばらせていた。船室中の物が宙を舞い、ヨットはきしみまくった。

 究極のピンチは4回ほど訪れた。2度目のノックダウンが最大で、ヨットが真っ逆さまになり、海に沈んだときだ。「ヨットごと持ち上げられて、波に叩きつけられ、割れた波の下にひっくり返ったまま沈められた」。

 甲板には出られず、自動航海装置に頼るばかりだった。しかし「軽い破損はあちこちにあるが、航海を止めるほどのダメージは受けずに済んだ」。翌日には波は高さ3メートル程度に戻り、ヨットの周りをイルカが泳いでいたという。

 ワトソンさんは1月上旬に南米のホーン岬(Cape Horn)を通過して南大西洋に入り現在、アフリカ最南端の喜望峰(Cape of Good Hope)を目指して東向きにフォークランド諸島(Falkland Islands)へ向かっている。(c)AFP