【1月15日 AFP】先住民は、同じ国の非先住民よりも最大で20年ほど寿命が短いとする国連(UN)の報告書が14日発表された。

 オーストラリア、ブラジル、コロンビア、メキシコ、南アフリカ、米国など、先住民人口が多い国々において同時に発表された報告書は、貧困と栄養不良とさまざまな感染症が相まって、先住民の寿命を縮めていると指摘している。

 非先住民との寿命の開きが最も大きいのはオーストラリアのアボリジニとネパールのキラトで、自国の豊かな非先住民よりも平均で20年も寿命が短くなっている。

 また、カナダのファーストネーションズ、イヌイット、メティスは17年、グアテマラのアメリカインディアンは13年、ニュージーランドのマオリは11年、それぞれ非先住民よりも短命となっている。

 報告書は、経済・社会・文化における先住民の権利がいまだに限定されていることを強調している。また、先住民にたびたび行われている暴力、同化政策、先住民の土地の搾取や立ち退きの強制、先住民が劣悪な衛生状況に置かれていることなどを非難している。

 報告書によると、世界90か国に存在する先住民の人口は、世界人口の約5%にあたる約3億7000万人。社会の周縁に暮らす最貧人口9億人のうち、先住民は3分の1以上を構成していることになる。

 ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で行われた報告書の発表会見で、ブラジルインディアン系の先住民テレナの活動家は、「インディアンたちは貧困生活を送り、字が読めず、政治経済の中心からは疎外されている。一部の国では、政府に認知さえされていない」と窮状を訴えた。また、「ブラジルの先住民はポルトガル人が(1500年に)入ってきたときには貧しくなかったが、植民地化を通じて貧しくなった」と説明した。(c)AFP