【1月13日 AFP】スウェーデン政府は12日、大学入試におけるアファーマティブ・アクション(差別是正措置)を撤廃する方針を打ち出した。一部の人気学部において男子の入学が優先される結果を生んでいるためという。トビアス・クランツ(Tobias Krantz)教育研究担当相が日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)に対し明らかにした。

 政府は2003年以降、各大学に対し、学生の男女数を同等にすることを目指したアファーマティブ・アクションの採用を認めてきた。

 だが最近になって、医学部、心理学部、獣医学部、歯学部など、男子学生が少ない人気学部において、アファーマティブ・アクションゆえに男子の入学が優先されていることに対し、批判が噴出している。こうした人気学部では、女子の受験生の方が男子よりも優秀な成績を収める傾向があるという。

 クランツ教育研究担当相は、同紙への寄稿で、「現行の規制は全く不平等な結果を生んでいる。前年、一生懸命がんばったのに性別のせいで希望の学部に入れなかった受験生の95%が女子学生だった」と述べている。 

 同国の高等裁判所は先ごろ、性別のせいで獣医学部に入学できなかったとして損害賠償を求めていた44人の女性について、訴えを認め、1人あたり3万5000クローネ(約45万円)の損害賠償を大学側に命じた。

 同国南部では、2008年にルンド大(Lund University)心理学部の入試で男子の入学を優先させたのは差別だとして、31人の女性が同大を相手取った集団訴訟を起こし、現在も公判中だ。

 男女平等のパイオニア的存在とされる同国では、大学生の約60%を女性が占めている。(c)AFP