「国際報道の自由賞」、ソマリアのアブディヌル氏ら4氏に
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【11月26日 AFP】米市民団体、ジャーナリスト保護委員会(Committee to Protect Journalists、CPJ)は24日、2009年の「国際報道の自由賞(International Press Freedom Awards)」を、ソマリアのフリーランス・ジャーナリスト、ムスタファ・ハジ・アブディヌル(Mustafa Haji Abdinur)氏ら4人に贈った。
同日、米ニューヨーク(New York)のウォルドルフ・アストリアホテル(Waldorf-Astoria Hotel)で授与式が行われた。
受賞者の1人は、現在もソマリアで取材を続け、AFPをはじめとする欧米の報道機関にニュースを送っているムスタファ・ハジ・アブディヌル(Mustafa Haji Abdinur)氏。
同氏は「わたしの受賞は、今もソマリアで活動する少数のジャーナリストたちの勇気が認められたことだと思う。この職務のために究極の犠牲を払ったジャーナリストたちに哀悼の意を示します」と述べた。
91年以来、内戦状態がほぼ途切れたことのないソマリアでは2005年以降、18人のジャーナリストが死亡し、今年だけで6人のソマリア人記者が亡くなっている。現在、同国内で活動している外国のジャーナリストはいない。また活動を続けるソマリア人記者も標的にされがちだ。
■ソマリア治安部隊と武装勢力の両方から敵視
アブディヌル氏はビジネスパートナーの力を借りて2007年にラジオ・シンバ(Radio Simba)を開設。ソマリア南部と中部に200万人を超える聴取者がいる。
AFPなど欧米のメディアにニュースを伝えていることで、反政府武装勢力と政府の治安部隊の両方から標的にされる日々だ。日本の共同通信(Kyodo News Agency)の取材に協力した後、武装勢力に暴行を受けたこともある。またイスラム系武装勢力シャバブ(Shebab)指導者のインタービューを放送した際には、当局に逮捕された。
殺害の脅迫もいくつか受け、家族は引越しも迫られたが、アブディヌル氏がひるむことはなかった。
「私がこれまで生きてきたなかで―私は27歳ですが―ソマリアには、まともに機能する中央政府が存在したことは一度もない。ソマリアは失敗国家です。いざというときに頼りになる警察も軍隊も司法制度もなく、ジャーナリストの活動は非常に危険にさらされています。だからこそ、弾痕が生々しく残る街を取材し、いつ終わるともしれない内戦のニュースを伝える勇敢なわたしたちジャーナリストへの、皆さんの支援が大変重要なのです」(アブディヌル氏)
■抑圧と戦う受賞者たち
アブディヌル氏のほかには3人が受賞した。
母国チュニジアで発禁処分を受けた独立系のオンラインニュース、カリマ(Kalima)編集長のナジハ・レジバ(Naziha Rejiba)氏は受賞の言葉で、「わたしはヒーローでも犠牲者でもありません。普通の状態で働きたいと思っている1人のジャーナリストです。チュニジアの抑圧体制下では、通常の活動まで異常視される」と訴えた。
残る2人の受賞者、アゼルバイジャンのRealny Azerbaijan紙の編集者、エイヌラ・ファトゥラエフ(Eynulla Fatullayev)氏と、スリランカのニュースサイト、アウトリーチSL(OutreachSL)の編集者で同国の英字紙サンデータイムズ(Sunday Times)のコラムニストでもあるJ・S・ティッサイナヤガム(J. S. Tissainayagam)氏は、政府に批判的な記事を書き、それぞれの国で収監されているために授賞式に出席できなかった。
式ではまた、米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)の元コラムニスト、アンソニー・ルイス(Anthony Lewis)氏の長年にわたる功績に対して、CPJ創立者の名を冠したバートン・ベンジャミン賞(Burton Benjamin Award)が授与された。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa
同日、米ニューヨーク(New York)のウォルドルフ・アストリアホテル(Waldorf-Astoria Hotel)で授与式が行われた。
受賞者の1人は、現在もソマリアで取材を続け、AFPをはじめとする欧米の報道機関にニュースを送っているムスタファ・ハジ・アブディヌル(Mustafa Haji Abdinur)氏。
同氏は「わたしの受賞は、今もソマリアで活動する少数のジャーナリストたちの勇気が認められたことだと思う。この職務のために究極の犠牲を払ったジャーナリストたちに哀悼の意を示します」と述べた。
91年以来、内戦状態がほぼ途切れたことのないソマリアでは2005年以降、18人のジャーナリストが死亡し、今年だけで6人のソマリア人記者が亡くなっている。現在、同国内で活動している外国のジャーナリストはいない。また活動を続けるソマリア人記者も標的にされがちだ。
■ソマリア治安部隊と武装勢力の両方から敵視
アブディヌル氏はビジネスパートナーの力を借りて2007年にラジオ・シンバ(Radio Simba)を開設。ソマリア南部と中部に200万人を超える聴取者がいる。
AFPなど欧米のメディアにニュースを伝えていることで、反政府武装勢力と政府の治安部隊の両方から標的にされる日々だ。日本の共同通信(Kyodo News Agency)の取材に協力した後、武装勢力に暴行を受けたこともある。またイスラム系武装勢力シャバブ(Shebab)指導者のインタービューを放送した際には、当局に逮捕された。
殺害の脅迫もいくつか受け、家族は引越しも迫られたが、アブディヌル氏がひるむことはなかった。
「私がこれまで生きてきたなかで―私は27歳ですが―ソマリアには、まともに機能する中央政府が存在したことは一度もない。ソマリアは失敗国家です。いざというときに頼りになる警察も軍隊も司法制度もなく、ジャーナリストの活動は非常に危険にさらされています。だからこそ、弾痕が生々しく残る街を取材し、いつ終わるともしれない内戦のニュースを伝える勇敢なわたしたちジャーナリストへの、皆さんの支援が大変重要なのです」(アブディヌル氏)
■抑圧と戦う受賞者たち
アブディヌル氏のほかには3人が受賞した。
母国チュニジアで発禁処分を受けた独立系のオンラインニュース、カリマ(Kalima)編集長のナジハ・レジバ(Naziha Rejiba)氏は受賞の言葉で、「わたしはヒーローでも犠牲者でもありません。普通の状態で働きたいと思っている1人のジャーナリストです。チュニジアの抑圧体制下では、通常の活動まで異常視される」と訴えた。
残る2人の受賞者、アゼルバイジャンのRealny Azerbaijan紙の編集者、エイヌラ・ファトゥラエフ(Eynulla Fatullayev)氏と、スリランカのニュースサイト、アウトリーチSL(OutreachSL)の編集者で同国の英字紙サンデータイムズ(Sunday Times)のコラムニストでもあるJ・S・ティッサイナヤガム(J. S. Tissainayagam)氏は、政府に批判的な記事を書き、それぞれの国で収監されているために授賞式に出席できなかった。
式ではまた、米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)の元コラムニスト、アンソニー・ルイス(Anthony Lewis)氏の長年にわたる功績に対して、CPJ創立者の名を冠したバートン・ベンジャミン賞(Burton Benjamin Award)が授与された。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa