【11月21日 AFP】今年のクリスマスは、どれほど「いい子」にしてようが「悪い子」だろうが、サンタクロースに送った手紙の返事が来ないかもしれない――米郵政公社(US Postal ServiceUSPS)が、これまで数十年にわたって「サンタクロースからのお返事」を返信してきたアラスカ(Alaska)州の小さな町ノースポール(North Pole)にサンタ宛の手紙を転送することを中止したからだ。

 1954年以来、クリスマスが大好きなノースポールの住民は、「ノースポール(北極)のサンタクロース」宛ての手紙に返事を書くという心温まる伝統を継続してきた。ノースポールの町にはサンタクロース小道や聖ニコラス(St. Nicholas、サンタのモデル)通りといった名前の道があるほど。

「ノースポール」にあてられた子どもたちの手紙は、USPSが「アラスカ州ノースポール」の住民に転送していた。しかしUSPSが転送の中止を決めたという。

 USPS幹部によれば、USPSのプロジェクト「オペレーション・サンタ(Operation Santa)」にメリーランド(Maryland)州で参加していたボランティアの1人が、登録性犯罪者だったことが前年明らかになり、中止が決まったという。

 人口2100人のノースポールの市長、ダグ・イザクソン(Doug Isaacson)氏はこの決定について、「(クリスマスが大嫌いな映画キャラクター)グリンチ(Grinch)のような行動だ」と非難する。市長は、返信を続けた50年間で事故はほとんど無かったと述べる。また、前年は返信が15万通に上ったという。

 イザクソン市長は20日、米CNNテレビのインタビューに「アラスカ州ノースポールは、クリスマス精神が1年中ある場所として知られている」と語った。

 USPSの方針変更は、子どもたちを保護するためのものだという。USPS広報担当のアーニー・スワンソン(Ernie Swanson)氏は、子どもたちの個人情報が流出するのを守るための措置だと説明した。

 イザクソン市長によれば、「アラスカ州ノースポール、サンタクロースハウス(Santa Claus House, North Pole, Alaska)」と具体的な住所を書けば、今でも手紙は届くという。「でも『ノースポールのサンタさん』宛に手紙を送ると、グリンチに手紙を盗まれてしまうかもしれないよ」とイザクソン市長は忠告した。(c)AFP