【11月18日 AFP】イタリアの独裁者ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)は、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)を「大いなるロマンチスト」と呼ぶほどの熱烈な反ユダヤ主義者で、ローマ法王を毛嫌いしていた――。ムソリーニの愛人だったクラレッタ・ペタッチ(Claretta Petacci)の日記を基にした新著『Secret Mussolini』で明らかになった。同書はペタッチの1932~38年の日記を基にしたもので、18日からイタリア国内で発売される。
 
 伊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)が16日に掲載した同書の抜粋によると、1938年8月4日の船旅の途中で、ムソリーニはヒトラーの新たな反ユダヤ政策について話を始めたという。そして、ペタッチに対し「俺は1921年から人種差別主義者だ」「どうして俺がヒトラーのまねをしていると思われているのか理解できない。彼はまだ生まれていなかったのに。混血が進んでわれわれの素晴らしさを損なわないように、イタリア人に民族感情をもたせなければならない」と語った。

 日記では、ムソリーニが、「精神的にすべてのユダヤ人に親近感をもっている」と発言し、カトリック教徒がユダヤ人と結婚することを認めるよう訴えたローマ法王ピウス11世(Pius XI)に対し、怒りを爆発させたことについても記述されている。

 ムソリーニは、「法王はローマカトリック教会に想像のできないほどの害を与えている。カトリックにこれほどの害を与える法王はいまだかつて存在しなかった」と述べ、イタリア人がアフリカに起源をもつ民族と結婚できるという見解を激しく非難した。

 ムソリーニは、1922年に政権に就き、第2次大戦ではヒトラーと同盟を結んだ。1945年に愛人とともに捕らえられ、処刑された後に広場に逆さまに吊された。(c)AFP