【11月13日 AFP】英国で、警察官を対象に「正しい自転車の乗り方」を説明した93ページの教本が「税金の無駄遣い」だと批判の的になり、英国警察長協会(Association of Chief Police OfficersACPO)は12日、教本の発行を中止すると発表した。

 この教本は、「Police Cycle Training Doctrine(警官向け自転車練習教本)」と題され、「自転車に『従事中』(=乗った状態で)は容疑者に飛びつかない」といったアドバイスのほか、「交差点における『配備の方法』(=右左折の仕方)」を解説図付きで説明。さらに、自転車から落ちないためのバランスの取り方、ブレーキのかけ方、肩越しに目視で『後方確認』をすること、尻が痛くならないようパッド付きの下着を身につけることなどを推奨している。

 覆面警官については、警官であると見破られないよう、防護ヘルメットを被らずに自転車に乗ることを推奨しているが、同時に安全衛生法の重要性を強調し、「危険にさらされていることに留意し、任務のリスクアセスメントを十分行うように」と警告している。 

 教本の存在は、英大衆紙サン(Sun)が同日、あまりにも単純な内容の作成に数千ポンドが使われていると報道したことで明るみに出、税金の無駄遣いだとの批判が巻き起こった。サンは、「米憲法は最初はたった4ページだったし、聖書では神が世界を創造したくだりがたった1ページで説明されている」と、その分厚さを嘲笑している。

 批判を受け、ACPOの広報担当は「教本はACPOが要請したものでも、作成したものでもない。承認するつもりもない。有志の警官グループによって作成されたものだ」と釈明。発行中止の方針を表明した。

 教本については、熱心なサイクリストとして知られ、自転車利用の拡大を推進するロンドン(London)のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)市長も、「非常に価値あるものだと思うが、コストはもっとずっと安く作れる」と批判的なコメントを出している。(c)AFP