【11月2日 AFP】5歳のときにベトナム戦争(Vietnam War)下の故国を逃れ、米国の船に拾われた少年が、米海軍駆逐艦の艦長として、まもなくベトナムを訪問することになった。米海軍が前月30日、ウェブサイト上で明らかにした。

 H・B・リー(Hung Ba Le)艦長は、ベトナム中部のフエ(Hue)に生まれたが、1975年、5歳の時にサイゴンが陥落。両親らに連れられて、ボートで国外に脱出しようとする難民の列に加わった。
 
 ボートで海を漂っていたリー少年は家族とともに米海軍に拾われ、家族は米バージニア(Virginia)州に居を定めた。リー少年はやがて米国の市民権を取得し、1992年に米海軍士官学校を卒業する。  

 そして今年4月、横須賀に基地を置く第7艦隊に所属する米ミサイル駆逐艦「ラッセン(USS Lassen)」の艦長に就任した。米海軍の艦長にベトナム系米国人が就くのは初めて。

 リー艦長が指揮する「ラッセン」は今月、ベトナムを親善訪問する。ベトナムに初めて帰還するリー艦長は、次のようなコメントを寄せている。「生まれた国、ベトナムの土を踏むのはわたしにとって言葉に尽くせないほど素晴らしい経験。故郷のことはほとんど覚えていないが、わたしは今でも、ベトナムとその文化、ベトナムの人々に強く惹(ひ)かれている」(c)AFP